大松重宏「患者さんの退院に向けての意思決定への援助-ソーシャルワーカーの立場から-」『緩和ケア』vol.16,№3,2006,pp.204-208

種類:評論 価値判断:○ 【要約】 著者は、国立がんセンター中央病院のMSW。「緩和ケア移行のチェックポイント」(p205)の表、及び「緩和ケア専門施設移行への援助」(p206)の図は有用。告知前から患者・家族のアセスメントを行うことや、また信頼関係を築いておくことの必要性や、要所要所でのフォローアップの必要性について述べている。 「告知の第一の目的は、残された大切な時間を患者・家族がどう過ごすのかを自己決定してもらうことにあるのであって、医療機関側の在院日数の短縮や病床のマネジメントを優先させるのではない。」(p205) 「重要なことは、高度な治療ができても、終末期移行への援助がニーズに合った質の高いものでなければ、患者サービスの観点からみた場合、医療全体の質が劣ると評価されることを忘れてはならない。」(p208) コメント:老健における退所告知と置き換えることができる。退所告知をマイナスに捉えるのではなく、今後の方針を自己決定(判断能力が本人に無い場合は、家族に)して頂くため、と位置付けることが肝要か。そのためには、切羽詰ってからではなく、計画的に面接を行っていく必要があろう。適切な在宅復帰選択に向けて、本人・家族の心理状態がどの段階にあるのかをきちんと判断した上で、意図的な介入やフォローアップをしていくことが重要である。行き当たりばったりの援助を行っていてはいけない。