愛知県医療ソーシャルワーク協会老人保健施設ソーシャルワーク部会第2回研修回(07.3.3)レポート

はじめに 200733日(土)、愛知県医療ソーシャルワーカー協会老人保健施設ソーシャルワーク部会主催の第2回研修会が行われた。第1回研修会に続き、本稿も部会員1個人として参加した感想を述べる。 ※写真は、プライバシー保護のため一部修正を加えています。 研修会概要 開催日:33日(土)13301630 会場:ウィルあいち テーマ:インテーク面接、あなたはどうしていますか?~基本的な面接技術編~ 講師:長岩嘉文先生(日本福祉大学中央福祉専門学校) 参加者:52参加者SW暦構成割合:3年未満51.0% 3年以上49.0形式:ワークショップ 070303 研修会 018.jpg

研修会までの経過 今回の研修会のテーマは、前回の研修会時に参加者にご協力頂いたアンケートの結果を踏まえて企画されている。結果から、①参加者の約5割がSW1年半未満と比較的経験年数が浅く、②支援相談員に必要な専門知識として、面接技術が最も多く選択されたことが明らかとなった。この結果を踏まえて、当部会として基本的な面接技術に研修会のテーマを設定した。 テーマの設定が適切であったか否かは、申込み人数に規定されるが、今回申込み締め切り前に定員を大幅に上回る申込みを頂き、キャンセル扱いとなった方が出た。この結果から、今回のテーマ設定はある程度適切であったことが伺える。なお、今回応募頂いたにも拘らず、キャンセル扱いとなった方々には大変申し訳ないことをした。次回からは是非早めの申し込みをお奨めしたい。 070303 研修会 004.jpg グループ内司会者の決め方 研修の本編では、インテーク面接場面のビデオを観た上で、グループ内で面接の良かった点、悪かった点を議論した。議論した点をグループ内の司会者に報告してもらうのだが、私の知っている方法では、グループ内で誰が司会者をやるのか話し合って決めてもらっているが、決めかねてどうしてもまごついてしまっていた。今回長岩先生から、「テーブルから一人だけ席が出ている人、もしくは真ん中の席の向かい合っている二人のうち一人」と具体的な司会者の選定方法についての提示があり、スムーズに決定することが出来た。おかげで、内容の議論に十分時間を割くことが出来た様子であった。なるほど、こういう決め方もあるのだなと感心した。 070303 研修会 020.jpg 技法を意識すること 面接の良かった点、悪かった点について議論した結果を、各グループの司会者がそれぞれ1つずつ報告していった。内容については色々と出てきたが、出揃った後、長岩先生から、「では、技法という観点から本面接を捉えた場合、具体的にどういった技法が使われていましたか?」という質問が投げかけられた。その瞬間、会場が沈黙したことが分かった。 070303 研修会 016.jpg 「えっ、技法って何だったっけ?」という沈黙である。もちろん中堅者にとっては、即答出来る質問であっただろうが、初任者は明らかに戸惑っている様子だった。 これは、決して私の独断ではなく、研修会後のアンケートの感想にも「普段、技法について意識して面接したことはありませんでした。」という言葉が多く書かれていたことからも推察できる。「面接の目的をSWとしてしっかりと設定し、その目的を達成するために、技法を意識して活用すること。」今回の研修会では、これが一番のねらいであった。 070303 研修会 009.jpg 技法を用いるタイミング その後、オープンクエスチョン、クローズドクエスチョンについて講義。ポイントは、「両者のどちらかが良くて、どちらかが悪いのではなく、目的に応じて使い分けることによって、面接が効果的になることを理解することが重要です。」という長岩先生のコメントが私自身大変参考になった。 また、「行っている面接が、①ラポールを形成するためなのか、②アセスメントをするためなのか、③情報提供のみなのか、④介入を行うためなのか、あるいは②と④を合わせたものなのか。クライエントが何を求めて来所されているのかを良く考えることが大切。③を求めているだけの人に①を行うことは、目的と対応がミスマッチとなってしまう。」とも。 老健という組織で、全ケースという訳にはいかないだろうが、これはというケースで意図的に技法を用いてみることから始める。それを通して徐々に経験が積み上げられて、自信にもつながる。」という長岩先生のコメントに深く頷かされた。 070303 研修会 007.jpg そして研修の最後に、「ワーカーの個性を否定して、教科書通り技法を使えば良いということではない。自分の個性を活かす形で技法を使えるようになって欲しい。」と締めくくった。 おわりに 今回の研修会は、「ソーシャルワークの基本概念図」(松山2006;p19)における、「理論・方法論(技法・技能)」に位置付く研修と考えて頂くと、理解し易い。また、「技法のみを学び面接で使用することは本末転倒ともいうべきことであり、ソーシャルワークが何であるかをしっかりと学び、面接の目的を明確に意識することができて初めて有効に用いることができるようになる」(松山2006;p17)こともここで指摘しておく。 当部会では、平成19年度以降更に体系化した研修をモデル事業として立ち上げる予定である。愛知県医療ソーシャルワーカー協会に所属している支援相談員の方々、そして協会に未加入の支援相談員の方々、お楽しみに。 引用文献 松山真「第1章 保健医療ソーシャルワークの価値」日本医療社会事業協会編『新訂 保健医療ソーシャルワーク原論』相川書房,2006,3-26