地域の社会資源

私が勤務している老健の近所にあるスーパーが最近閉店した。シャッターには、「店主の都合により閉店します」と貼り紙が。このスーパーは、近隣に住む認知症の高齢女性たちが発症以前からの日課で現在も立ち寄るのだが、病気が原因で支払いが出来ず、商品だけを持っていってしまうため、店員がさりげなくつけておいてくれて、後日家族に請求するサービスをしてくれていたという。また、近隣に住む独居の高齢者に一定程度のまとまった購入をすれば自宅まで配達してくれるというサービスまで行ってくれていた。 こういう馴染みの関係性において高齢者の日常生活を支援してくれる地域の社会資源は、大変貴重な存在である。以前、在宅復帰した利用者の食材調達方法として、インフォーマルサポートの1つにこのスーパーによる食材配達サービスを組み込んだこともあった。だからこそ、閉店のお知らせは大変ショックの大きいものであった。こういった馴染みの関係性は、大型店舗ではなかなか築きにくい。同じことをすれば、たちまち定員さんに補導されて家族や警察が呼ばれ、「困った人」というレッテルを貼られてしまうであろう。 どのような理由で閉店となったのかは知る由も無いが、残念で仕方が無い。今後はこの近所にあるコンビニがその役割を果たすことになりそうだが、既に認知症の高齢女性たちはこのコンビニへ食べ物を買いに出かけているようである。コンビニの店員さんが、彼女たちとどこまで馴染みの関係性を築けるか見守っていこうと思う。 08-01-23_12-14.jpg (解体作業が始まったスーパー)