社会福祉士の合格者数とその養成環境

3月31日、厚生労働省社会・援護局福祉基盤課より、第20回社会福祉士及び介護福祉士国家試験の合格発表が行われた。 同課によると、昨年度45,324名が受験して、13,865名が合格(合格率30.6%)したとのこと。第1回試験から第19回までの総合格者数は、97,058名。うち登録者数は、平成20年2月末現在95,536名(登録率98.4%)であった。今回の合格者数を加えると、全国に約11万人の社会福祉士が存在する訳だ。ちなみに、厚労省の説明によると実際に社会福祉士として稼働しているのは、3万人強であるそうだ。 また、医療従事者の昨年度の国家試験合格者数は、以下の通り。 ・医師 7,733名(合格率90.6%) ・歯科医師 2,269名(〃68.9%) ・薬剤師 10,487名(〃76.14%) ・看護師 46,342名(〃94.6%) ・理学療法士 6,924名(〃86.6%) ・作業療法士 4,257名(〃73.6%) ・言語聴覚士 1,788名(〃69.5%) ・精神保健福祉士 4,456名(〃60.4%) ・介護福祉士 73,302名(〃51.3%) ------------------------------------------------------------ ・(再掲)社会福祉士 13,865名(〃30.6%) 上記の通り、リハ3職種合格者数の合計は12,969名で、意外にも社会福祉士数の合格者数13,865名の方が上回っていた。医療機関では、社会福祉士よりも圧倒的にリハ3職種の方が多いので、ともすると養成者数もリハ3職種の方が多いと思ったが事実は異なるようである。 では、社会福祉士合格者数がリハ3職種合格者数の合計を上回ったという事実を、どう解釈するか。私は、大きく分けて以下3通りの解釈が出来るものと考える。 第1に、社会が社会福祉士の活躍を求めており、国家がそれを必要と判断したから。 第2に、660~1,200時間程度の教育と180時間の実習で取得できる簡易な国家資格だけに、リハ3職種に比べて養成もたやすいから。 第3に、登録後実際に稼働する者が少ないので、多めに合格者を出せざるをえないから。 無論、他の解釈もありうる。上記の事実をどう解釈するかは、とても興味深い作業である。 なお、社会福祉士の合格率は30.6%と他職種と比較して随分低い。試験内容が異なるため単純な比較は出来ないが、社会的に45,324名に受験資格を付与したにもかかわらず、その内3割しか合格できないとは、ともて非効率な国家資格だと思う。 合格者数を維持した上で、合格率を倍の60%に引き上げるならば、受験者は23108.3名だけで十分であり、22,215.7名は養成過剰となる。養成校へ入学者数が減少しているというが、そもそも養成校数が供給過剰であり、また景気の変動で働く場を決める浮遊層まで学生として取り込んでいることを鑑みれば、当然の結果であろう。本当に社会福祉士になりたい人が一生懸命勉強をして、実際に社会福祉士として働く。そういった当然のことが実行される養成環境を望みたい。 参考:①日本医療社会事業協会『診療報酬改定に伴う研修会』2008      ②厚生労働省社会福祉士国家試験の受験者・合格者の推移①2008.4.9 加筆・修正 ②2008.4.10 加筆・修正