第3回医療社会福祉計画論演習(08.4.24)

本日は、二木先生の『医療経済・政策学の視点と研究方法』勁草書房,2006の「第2章 医療政策の将来予測の視点と方法」pp.27-43を題材に演習。 【重要と思った人物】(Amazon.co.jpより引用) 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より) 松原 由美 (株)明治安田生活福祉研究所主任研究員、国際医療福祉大学非常勤講師、厚生労働省医療機関の非営利性に関する検討会委員。1992年3月東京女子大学現代文化学部地域文化学科卒業。1994年3月慶応義塾大学大学院経営管理研究科卒業。1994年4月~1996年3月慶応義塾大学大学院経営管理研究科田中研究室研究生。1996年4月明治生命フィナンシュアランス研究所(現明治安田生活福祉研究所)入社。2001年4月~2003年3月医療経済研究機構へ主任研究員として出向(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) (著書) ・松原由美『これからの中小病院経営』医療文化社,2004.8 病院産業はすぐれて地域産業であり、地域特性(市場特性)を無視した病院経営はあり得ない。本書では、地域特性と関連づけた形で病院経営事例を提示。また、病院の資金調達多様化が叫ばれる中、日米双方の医療分野における資金調達問題の歴史と現状をふまえ、病院における資金調達のあり方を示唆。 【紹介された資料】 ・「特集医療法人改革の評価と今後の課題」『医療と社会』Vol.17,№.4,2008,pp.349-408 →次回演習までに読んでくること。 ・『朝日新聞』2008年4月24日朝刊,3面 【印象に残った二木先生の言葉】(覚書なので正確ではないです。) ・人脈作りに必要なことは、ギブアンドゲットです。まずは提供すること。もらってばかりでは、人脈はできないよ。 ・社会福祉の分野でも将来予測に関する研究がいくつか出てきているでしょ。でもまあ、社会的な要素が入ってくると、自然科学と比較してなかなか正確な予想は出来ないよ。但し、大まかな傾向は出せると思う。 【感想】 ・「ハードに学べ、しかしもっと重要なのはスマートに学ぶこと。」が最近頭から離れない。先生が将来予測を始めた原点(p.28)のうち、リハビリテーション医時代の「必要」の箇所は、現在の医療ソーシャルワークにおいても同様のことが言えると考える。 ・医療ソーシャルワークの分野において、認識を深める研究を目標に立てることが、結果としてスマートに学ぶことにつながりそうだ。ポイントは、現在の「やってみなけりゃわからない」という世界から「大まかな傾向」を出す段階にまで持っていく様な研究に取組みたい。但し、先生と同様に限定的なテーマを設定しないと、漠然とした研究になりかねないので要注意。 ・演習終了後、プログラマーの方に電カルと市販ソフトデータベースのリンク方法について、「ASPだからリンクできないわけではありませんよ。そこにセキュリティがあるからリンクできないのだと思います。」とアドバイスを頂く。なるほど。また、現在日報集計ソフトとは別に退院援助の経過を視覚化するソフトを開発中とのこと。退院援助が遅滞している場合、何がボトルネックになっているのかを分析する手助けになるそうだ。うぉ、それは凄い。あの方には、どんどん先に行ってしまわれる・・・。 ・愛知県内の医療機関のMSWで、アクセスまたはファイルメーカーを使用して業務補助に積極的に取組んでいる人は、知っているだけで4名。うち、1医療機関では、紙カルテは存在せず、全てファイルメーカーにて経過記録を入力。また社会資源データベースを確立しているとのこと。また、フェースシートは、データベースに入力した上で、印刷にて記入する方法を採用しているところもあり、大変示唆に富む。「同じことを2度も3度も手書きしたり入力するなんて馬鹿らしいよね。」ほんと、その通り。考えていることや到達地点が、とても似通っていることに興奮。この人たちと議論する場が出来たらどんなに楽しいだろうか。 ・但し、ある程度名の通った医療機関MSW部門でも、相談業務の1つである記録の作成自体を行っていないところが存在し、そもそも「記録を書く」という行為自体がMSW間で共通化できないことが十分に予想される。 ・常に行き当たりばったり。自己の経験値のみが高くなるだけではダメ。他のワーカーが代替してクライエントに介入することや、自分が退職した後の組織としての経験値の蓄積をもう少し考えて業務を行って頂きたい。何より、その経験値は後輩にとって、どんな教科書よりも勉強になるのだから。パターナリズムから脱構築し、クライエントとの対等な立場を尊重する教育の弊害がここにも現れている。「クライエントと対等のままでいること」と「クライエントとの対等性を意識すること」とは違う。脱構築した後が重要であろうに。 ※2008.4.25 加筆