「介護サービス情報の公表」制度公表のお値段

5月23日、厚生労働省老健局振興課主催の平成20年度第1回全国「介護サービス情報の公表」制度担当者会議が開催された。配布資料の中に、「平成20年度における情報公表手数料設定の状況」という資料が添付されている。 中身は、一時全国の介護サービス事業所を困惑させた、「介護サービス情報の公表」制度にそって実施される調査公表のための都道府県別手数料が掲載されている。 以下、主だった点を紹介。(2と3は、ケアマネジメントオンライン5月26日記事より引用) 1.平成20年度に予定している公表事務手数料と調査事務手数料を合わせた合計手数料額の全国平均は、45,488円。 ※平成19年度54,034円、平成18年度54,886円。平成18年度と比較するとこの2年間で9,398円値下がりしている。 2.減額改定の県が約 8 割の一方、2割の県が変更なし、もしくは検討中という状況。 3.手数料の金額の都道府県格差は約1.6倍、約2万3,000円と大きな開きがある。 以下、公表事務手数料と調査事務手数料を合わせた、合計手数料額の上位と下位それぞれ3位を紹介する。なお、これらの金額は、平成20年4月1日現在のものであり今後都道府県ごとに改訂される可能性もあるのでご了承願いたい。    都道府県 合計手数料額 1位  千葉県   36,633円 2位  福岡県   36,875円 3位  三重県   37,600円  ・  ・  ・ 45位 東京都   56,750円 46位 秋田県   58,333円 47位 島根県   60,000円 --------------------------------------- 平均         45,488円 ちなみに、愛知県は39,700円で9位。 (コメント) 実際に筆者は、毎年愛知県内の老健に関するデータを収集分析しているが、不満な点が以下4点ある。 第1に、論理的に考えて数が合わない。 例:前年度と比べて「入所者の平均的な入所日数」が365日よりも多く増加している。 第2に、基本的なデータ入力が事業所担当者の計算・入力ミスによって起こっている。 例:「入所者の平均的な入所日数」は、日数換算なのに月換算で入力している。支援相談員が2名従事していると入力しておきながら、従事年数の類型には1名分の入力しか見当たらない。 第3に、データに明らかな間違いがあって、担当部署(社会福祉法人愛知県社会福祉協議会 介護サービス情報公表室)にそのことを指摘しても、「当該事業所から修正依頼がないと修正はしない」と強気の返答・・・。 第4に、老健にとって重要な指標となる、「3ヶ月間の退所先の人数」「入所者の平均的な入所日数」の根拠月が、平成18年度は平成18年1~3月と統一されていたが、平成19年度から調査日を含む月を除いた前3ヶ月間に変更されてしまい、施設間での比較が出来なくなってしまった。これらの指標は、季節によって大きく影響を受けるため(春・秋は気候が良いので在宅復帰しやすい。夏・冬は体調に悪影響を及ぼしやすいので入所意向が強い。)、同一時期もしくは、1年間のトータルで集計しなくては、比較できない。 総じて、4~6万円もする合計手数料額を考えると、公表されているデータの質および各項目の定義があまりに粗く、担当者としての厚生労働省都道府県、指定情報公表センターの責任は思い。これでは、本制度は指定調査機関の利益にしかなっていないのではないか。 但し、公平を期して言えば、一部の介護サービス事業所の入力担当者の事務能力の低さも、要因の一つであると考える。「利用者に対して、事業者に関する情報を適切に提供する」ことが本制度の趣旨であることからして、早急に上記の点について改善してもらいたいものである。あと、インターフェースが硬すぎるので、こういう時には積極的に政府の息のかかっていない民間のHPデザイナーを起用して分かり易く馴染み易いインターフェースを作ってもらいたい。 【引用文献】 ・「平成20年度第1回全国『介護サービス情報の公表』制度担当者会議資料(平成20年5月23日開催)」2008年5月26日 ・「平成19年度第2回『介護サービス情報の公表』制度担当者会議資料(平成19年11月2日開催) 」『WAMNET』2007年11月7日 ・「介護サービス情報の公表制度、課題は制度自体か運用面か!--厚労省(1)」『ケアマネジメントオンライン』2008年5月26日 ・厚生労働省老健局振興課長通知『『「介護サービス情報の公表』制度の施行について」の一部改正について』の一部改正について』(老振発第0319004号)平成19年3月19日 ①2008.5.28 加筆・修正