厚生労働省『医療機関の未収金問題に関する検討会報告書(案)』2008.6.25

6月27日、WAMNETにおいて6月25日に開催された第7回医療機関の未収金問題に関する検討会資料がUPされた。 厚生労働省『医療機関の未収金問題に関する検討会報告書(案)』2008.6.25 同報告書(案)の目次は以下の通り。 1 未収金を取り巻く現状と問題 2 未収金にかかる現行制度とその解釈 3 未収金回収の実態 4 未収金発生の原因分析 5 対策 (1)基本的な考え方 (2)未然防止策として考えられる方策 (3)事後対策 6 まとめ 印象に残ったのは、以下3箇所。 ・「全体の未収金額に占める一部負担金相当額の割合は4割相当ということになっており、保険者徴収によって徴収されるのは一部負担金に限られているため、仮に保険者徴収によるとしても、未収金問題の4割程度しか解決されない。したがって、残りの差額ベッド代などの費用については、別途医療機関側の回収努力によるところが大きいと考えられる。」(p7) ・「調査で得られた21,150件の患者票全体(個別データ)で見ると、「患者が今回の医療費を支払うだけの資力がないほどに生活に困窮している」は件数ベースで17,0%、金額ベースで22.6%であった。」(p8) ※「生活の困窮」の判断基準は、あくまでも病院の担当者の主観であり客観的基準はない。 ・「未収金が発生してからでは、医療機関においても回収にそれほど労務や時間をかけることができないということ、法的措置による債権回収においてもコストや実効性に問題があること、保険者徴収についても資力がない等の理由により、回収に結びつくケースが限られていること等、事後的な回収努力については一定の限界があることから、未収金対策を検討するに当たっては、発生をいかに未然に防止するかが重要である。」(p10) なお、懸案だった医療ソーシャルワーカーについては、「5 対策(2)未然防止策として考えられる方策②病院側の取り組み」において、未入金対策の好事例として、次の様に紹介されていた。 「未収金発生の主要な原因の一つである「生活困窮」への対応として、病院においても、一部負担金減免制度の周知、生活保護申請の支援、無料低額診療事業の紹介など行えるよう、MSW(医療ソーシャルワーカーを配置するなど患者に対する相談体制を整備すること。」(p13) 6月29日現在、厚生労働省HPにおいて当委員会の議事録は第3回(平成19年10月5日)分までしか公表されていない。その中で、第2回(平成19年8月3日)の議事録において東京都立病院(11病院)の実態報告箇所で、東京都病院経営本部サービス推進部患者サービス課の中野課長より、「まず発生の防止策としましては、高額療養費の現物給付制度ですとか高額医療費の貸付制度、出産育児一時金の受取代理制度、こういったものを、MSW等を通じて患者さんの方に利用を勧めるということ。」と紹介されている箇所があった。 中野課長さん、ナイス。医療ソーシャルワーカーが日常的に行っている「経済的問題の解決、調整援助」が(未収金対策を主として実施している訳ではなく、あくまでも医療を受ける権利の擁護、生活困窮の解決・緩和が主目的)、結果的に未収金発生の防止策として機能していることを紹介して頂きありがとうございました。 【参考】 ・第6回医療機関の未収金問題に関する検討会資料(平成20年5月28日開催)厚生労働省保健局長通知『医療ソーシャルワーカー業務指針(健康発第1129001号)』平成14年11月29日