「医療費未払い、保険者による強制徴収も」『CBニュース』2008年6月26日

6月25日に開催された、医療機関の未収金問題に関する検討会(第7回)にて、未収金対策として「医療ソーシャルワーカーによる相談体制を整備して防止に努める」ことも取り上げられた様子。厚生労働省HPに最終報告書案が掲載されたら要チェックであろう。(26日14:23現在未掲載) 以下、ホームページより転載。(赤文字は、著者が修正)
病院で発生する入院費などの未払い問題への対応策などを話し合う厚生労働省の「医療機関の未収金問題に関する検討会」(座長・岩村正彦東大法学部教授)はこのほど、最終報告書案を大筋で了承した。発生した未収金を回収するなどの事後処理による対応には「限界がある」として、病院による防止策の強化を促している。一方で、市町村など保険者による対応として、国保一部負担金を減免する措置のほか、支払い能力があるのに一部負担金を支払わないなどの悪質なケースに対しては、病院に代わって強制徴収する「保険者徴収」の活用も提言している。 【関連記事】 病院の1割で1億円超の未収金 増える病院の未収金 診療所の未収金、産科と外科に多く   国立病院の未収金「生活困窮」が大半  未収金の最終的な負担者は誰?  正式な最終報告は、この日の意見を踏まえてまとめる。また厚労省は、一部負担金の減免措置や保険者徴収などに踏み切る際の具体的な基準を今年秋にも示す。  厚労省の水田邦雄保険局長は、最終報告に沿った対策の実施状況を評価した上で、必要に応じて未収金問題について再検討する方針を明らかにした。  厚労省四病院団体協議会に加盟する6000病院を対象に実施したアンケート調査によると、未収金の発生原因として、医療費を払えないほど患者が生活に困窮しているとみられるケースが全体の17%、病院担当者が「悪質滞納」と判断したケースが8.4%あることが既に分かっている。  こうしたことを踏まえ、報告書案では生活困窮による医療費の未払い防止策として、一部負担金の減免措置や生活保護の適切な運用などを挙げた。一方で、悪質滞納については、放置すればモラルハザードを引き起こし、未収金の発生を助長すると指摘。財産差し押さえなどの「滞納処分」を行う保険者徴収制度を事後の対応として打ち出している。  ただ、厚労省のアンケート調査では、保険が適用されない差額ベッド代などの未収の割合が大きいことも分かっており、報告書案では「仮に保険者徴収によるとしても、未収金問題の4割程度しか解決されない」とした。また、一部負担金の窓口払いは「保険医療機関等と被保険者との間の債権債務関係と解すべき」と指摘。医療ソーシャルワーカーによる相談体制を整備して防止に努めるなど、病院側による十分な対応を求めた。  その上で、保険者徴収に踏み切る際の基準の考え方として、▽医療機関が訪問を行うなど十分な回収努力をする ▽回収対象額は一定額以上である ▽著しく悪質な場合に対象者を限定する―などを挙げている。 ■医療費不払いを理由に診療拒めず  医師法では、患者から診療の求めがあった場合に、医師自身が病気にかかっているなど正当な理由がなければ拒否できないと規定している。検討会では悪質な未払い患者について、この規定の見直しを求める意見も病院側の委員から上がっていたが、報告書案では「直ちにこれ(医療費の不払い)を理由として診療を拒むことができない」との解釈を示している。