「身体障害者認定の改善を 日本学術会議分科会が報告書」『週刊福祉新聞』2008年7月28日

認知症高齢者の日常生活自立度」の見直しに加えて、身体障害認定についても見直しの声が上がっている。但し、こちらは日本学術会議からの提言であり、国の方針ではない。もし、この見直しが実現した場合、かなりの影響力があるものと思われる。 【資料】 日本学術会議臨床医学員会障害者との共生分科会『提言:身体障害者との共生社会の構築を目指して:視覚・聴覚・運動器障害認定に関する諸問題』2008年6月26日 以下、転載。


日本学術会議臨床医学員会障害者との共生分科会(委員長=本田孔士・大阪赤十字病院長)は10日までに、身体障害者福祉法に基づく障害認定の改善を求める報告書をまとめた。 報告書は同法に基づく障害認定の等級が、障害年金、特別児童扶養手当など目的の異なる他の制度で準用され、利用者の間で不公平感が生じているとし、「それぞれの法制度の目的にあった障害程度の判定基準を整備することが必要」と提案した。 現行の認定基準の問題点としては、視力障害の認定で両眼の視力の和を用いることから、同じ等級でも左右の視力が均等な場合とそうでない場合とでは生活上の困難度が異なることを例示。また、聴覚障害の認定では、機器の進歩に合わない検査測定のため本来より低い等級となり、医療費助成で不利にある実態を指摘した。 運動器障害については脳性まひなど症状が年齢により変化する疾患の場合、3歳未満での認定が受けられないことがあるが、画像診断技術の進歩により乳児期における認定が可能となってきたことを指摘。脳血管障害についても同様に発症後早期の認定を積極的に進めるよう求めた。 このほか、報告書は①国際生活機能分類ICF)を用いて障害の予防、治療、リハビリテーションをとらえ直すこと②医学・医療分野と工学分野の研究者の協働③関連学会による障害のとらえ方の啓蒙活動④障害の範囲、お互いに納得できる合理的配慮の範囲の見直し-を提案している。