専門知識も大切だけれど、基本的なことができることも大切

利用者や家族は、施設・医療機関の弱点を実に良くみている。というより、身をもって体感している。報告・連絡が上手く伝わらない。ルーティン業務を変えたくない。私(職員)の判断が常に正しい。それは私たち職種の仕事ではない。その仕事はあの職員がやってくれるはずだ。面倒くさい。連携の知識が不足している。利用者・家族の訴えを全てクレームと捉える・・・。 施設・医療機関の色々な都合が、利用者・家族の訴えよりも優先される。もちろん、辛らつに利用者・家族に向き合っているところもある。但し、全てがそうではない。水は低い方に流れるものだ。ソーシャルワーカーとして、社会資源の表面的な情報を伝えるのではなく、実際この様な基本的なこと(相手の話を聞く、対応できるか否か考える、目的を達成するための調整を行う、対応できない場合はその理由を伝えた上で必要であれば適切な機関へ送致する)がきちんとできる施設・医療機関か否かを自分の足を使って見聞きし、紹介できるようにしたい。 こういった基本的なことが出来るようになるためには、閉鎖的な環境では改善は難しい。自己の組織の常識があたかも世の中全体の常識と錯覚しているからだ。常に他者が出入りする開放的な環境に意図して身を置かないと、世の中の非常識がまかり通ってしまう。 以下、『産経ニュース』2008年8月27日より転載。


【ゆうゆうLife】読者から 施設は医療と介護の連携を 2008.8.27 06:53   新潟市 主婦 匿名希望 81  7月21日付「家族介護 足りない心への支援策」で、渡辺俊之教授の「介護者には、イライラや不安、悲しみや落ち込みのマイナス感情が必ず芽生える」との言葉に、思い切り涙を流しました。  私は3年半前まで、前立腺がんと脳梗塞(こうそく)になった夫の老々介護を続けていました。夫は亡くなりましたが、今も介護をしていたときのマイナス感情の後遺症か、左半身の震えなど、自律神経失調症に悩まされています。  当初のケアマネジャーは家族本位で考えてくれましたが、新しいケアマネジャーの対応がストレスになりました。私の体調が悪化し、夫が最新のユニット型特別養護老人ホームに1カ月、ショートステイをしたまでは良かったのですが、かかりつけ医の処方した薬が「使えない」と返されたのです。排尿を促す薬なので、職員に服用を頼みましたが、「ケアマネジャーの指示がないと、できない」と言われました。かかりつけ医に聞くと、「服用しなければ大変だ」とおっしゃるので、先生から伝えてほしいと頼みましたが、「それは私から言えない」でした。  入所7日目にホームに行くと、職員がオロオロし、「2、3日前から発熱し、今は38・9度です」というばかり。薬を服用しなかったせいだと思います。病院に緊急入院し、助かりましたが、カテーテルのついた体になってしまいました。介護施設では、もう少し医療と介護を連携させ、高齢者が安心できる運営を心がけてほしいと思います。