脳卒中患者・認知症患者の入院基本料減額、取り扱いを緩和 厚労省

「一般病棟」の長期入院者で高齢の脳卒中患者と認知症患者の90日超え事例に関する緩和措置がとられる様です。 ただ、報酬で誘導したところで、転院先がなければ結果的にしわ寄せが行くのは患者です。医療機関側は、「ここは急性期だから。」とか「国の方針では、高齢者は90日までが入院と決まっています。」とか、もっともらしいことを言えば、患者・家族は了解せざるを得ない権力構造にあります。医療機関側も、そういう風に言えば、「うちの責任じゃないよ。世の中がそうなんだからね。」と責任の所在をあいまいに出来ます。 もちろん、受け皿が無いのはいち医療機関の責任ではなく、低福祉・低負担という国民選択の結果です。また、川上武氏の指摘する通り、福祉施設が適切に設置されず、医療機関がそれを代替せざるを得なかったという歴史的経過もあります。 そこで社会資源が無いなりに何とか退院援助するのが、医療ソーシャルワーカーであったり、退院調整看護師です。ただ、残念なことに、個別援助に終始しがちであり、社会に共通する問題として、政策にフィードバックするアクションが取られないため、社会資源が無いという問題は温存されたまま日々が過ぎていきます。 「目の前にいるクライエントの問題を解決・緩和することがソーシャルワークの主目的ではない。複数のクライエントが共通して持つ社会問題を解決・緩和するという視点から援助を行う。そのためにはソーシャルアクションが大切。そのことが結果的に、個々のクライエントにも良い影響を与えることに繋がる。」 この視点を教えてくれたのは、以前勤めていたホームレス支援団体笹島診療所ソーシャルワーカー藤井克彦氏でした。なかなか出来ることではありませんが、大切にしたい視点だと思います。 【参考】 ・藤井克彦「『ホームレス問題』におけるソソーシャルワーク的視点と課題ー笹島診療所の場合ー」『社会福祉研究』第80号,2001,pp.132-135 ※ホームレス支援全国ネットワークより引用。 以下、Online Medより転載。
脳卒中患者・認知症患者の入院基本料減額、取り扱いを緩和 厚労省(2008.8.28,1:45)資料 対象患者への退院支援状況報告書提出が要件(中医協情報:08改定)
対象患者への退院支援状況報告書提出が要件中医協情報:08改定)  厚生労働省は8月27日の中医協総会に、今年4月の診療報酬改定のうち、10月からの実施としていた「一般病棟」の長期入院者で高齢の脳卒中患者と認知症患者については90日以上となった場合に入院基本料の減額の適用対象とする措置を、「機械的に減額の対象とすることはしない」と改める方針を説明、了承されました。  前回の06年診療報酬改定で療養病床の点数評価を見直し、「密度の高い医療の必要性が低い」患者の入院基本料の引き下げを行った結果、脳卒中患者や認知症患者が一般病棟にとどまる傾向が出てきたことに対応する措置として、今年の改定で取り組んだものですが、入院基本料の減額を避けるため病院側から転院などを求められても、行く先がないケースが起こりかねないとの批判がありました。  後期高齢者医療制度に対する批判の中で指摘されていたものです。  そうした指摘への対応として行うものですが、厚労省は「医療機関が退院や転院の努力をしている患者については機械的に減額の対象とはしない」との考えで、減額しないことの条件として個々の患者ごとに「退院支援状況報告書」を社会保険事務局に提出することを求めます。  報告書には、病名、日常的に行っている医療行為、退院の問題点、退院に向けた支援の概要を記載することとします。毎月の提出が必要です。  報告書の提出状況、つまり減額対象外となる患者数がどの程度になるかを見た上で、さらなる対応が必要になるかの判断をすることとしています。  厚労省では、報告数は1000件から3000件程度と想定、それを大きく上回り2万件にも達するようであれば、新たな対応も考えることになると見ています。 資料1:一般病棟の長期入院患者の入院基本料について(厚労省) 資料2:8.27中医協総会配布全資料(厚労省) 出典:Online Med