「脳卒中後遺症・認知症患者の入院基本料、90日以上減額の取り扱い緩和で通知 厚労省(2008.9.8,0:55)資料」『online med』

8月29日の記事「脳卒中患者・認知症患者の入院基本料減額、取り扱いを緩和 厚労省」の続き。 「※ 社会保険事務局に「退院支援状況報告書」を提出いただく。※ 退院支援状況報告書には、病名や日常的に行われている医療行為、退院に係る問題点・課題や退院に向けた支援の概要等を記載いただく予定。」(厚生労働省保険局2008)という宿題への回答。 興味深いのは、この退院支援状況報告書の書式は、(後期高齢者)退院調整加算の算定時に使用する「退院支援計画書」(p9参照)と大変似ていることだ。また、「退院支援計画書」の時と比べて、「退院に係る問題点、課題等」や「予想される退院先」が選択式に変更されている。恐らく、これは予定されている調査を想定して後で集計しやすいように構造化されたものと思われる。 但し、ここに表記されている退院支援計画担当者とは、具体的にどの職種でもよいのかについては不明である。ただ、後期高齢者退院調整加算を算定している一般病床では、その意味での退院支援計画担当者は既に届け出ているものと思われるので、後期高齢者特定入院基本料に切り替わると同加算が算定できなくなることを考えれば、その者の名前が横滑りで掲載されることもありうる。 分かりやすく言えば、一般病床に入院してきた後期高齢者医療制度に該当している人が入院日数90日までは後期高齢者退院調整加算を見越して支援を行い、90日越えかつ後期高齢者特定入院基本料の例外規定にのらない人には、当面は同報告書を作成といった流れになることが予想される。いずれも、一般病棟入院基本料を算定することが狙いだ。 しかし、一般病棟入院基本料や後期高齢者退院調整加算を算定することを主目的に退院援助を行っているわけではない。実際に計画書や報告書を作成するMSWの方には、この辺りの書類作成業務は「サラリ」とこなしつつ、通常の退院援助を遂行して頂きたいものである。 うーん。これを毎月報告とはいやはや・・・。 【引用文献】 ・厚生労働省保険局「一般病棟に長期入院している高齢の脳卒中患者・認知症患者に関する診療報酬に係る経過的な措置について」『中央社会保険医療協議会総会配布資料』2008.8.27 以下、online medより転載。


毎月の報告書に退院支援計画担当者の署名と押印が必要(診療報酬情報:08改定)

 厚生労働省は9月5日、診療報酬算定の留意事項を一部改正する通知を出し、「一般病棟」で入院90日以上となった場合に入院基本料を減額する措置で、10月から新たに対象とする「高齢の脳卒中後遺症患者と認知症患者」について、「機械的に減額の対象とすることはしない」と改めることとしました。8月27日の中医協総会で了承されたものです。  脳卒中後遺症患者と認知症患者を、一般病棟入院基本料で90日以上となった場合の点数減額措置の対象とするのは、前回の06年診療報酬改定で療養病床の点数評価を見直し、「密度の高い医療の必要性が低い」患者の入院基本料の引き下げを行った結果、脳卒中後遺症患者や認知症患者が一般病棟にとどまる傾向が出てきたことに対応する措置として、今年の改定で取り組んだものです。  しかし、入院基本料の減額を避けるため病院側から転院などを求められても、行く先がないケースが起こりかねないとの批判がありました。後期高齢者医療制度に対する批判の中で指摘されていたものです。  そうした指摘への対応として、厚労省は「医療機関が退院や転院の努力をしている患者については機械的に減額の対象とはしない」こととし、その条件として個々の患者ごとに「退院支援状況報告書」を社会保険事務局に提出することを求める方針を8月27日の中医協総会に説明、了承されました。  通知では、「退院支援状況報告書」の様式も示しています。病名、日常的に行っている医療行為、退院の問題点、退院に向けた支援の概要を記載、退院支援計画担当者の署名と押印が必要としています。 資料1:通知:「一般病棟入院基本料を算定している病棟に長期入院している高齢の脳卒中後遺症患者及び認知症患者に関する診療報酬の算定の際の留意事項について」(厚労省) 資料2:一般病棟に長期入院している高齢の脳卒中患者・認知症患者に関する診療報酬算定の際の留意事項について(厚労省)