支援相談員業務(第2回 支援相談員の1日)

第1回の続き。 はじめに 私の勤務している老健は、在宅復帰型と長期入所型の混合タイプです。最近の傾向としては、支援相談員の上司と同僚と私の3人でよく話し合い、他職種とも協力しながら、①往復型利用者の確保し回転率を上げる、②特養、グループホーム、有老ホームとの連携により長期入所者の割合を減らす、ことで在宅復帰型を目指しています。平均在所日数や在宅復帰率も成績の悪くなる夏(気温が暑いので在宅生活が体調に影響を与えやすく入所希望者が多い)ではありますが、全国値より良い成績を維持しています。(もちろん、数値が良いだけではだめで、中身も良くなければいけませんが。) そのため、回転率が良いので「入りやすい」施設です。但し、一生は入所していられない。 支援相談員の1日 そんな勤務先での支援相談員の1日の流れを、以下ざっくりと紹介します。もちろん、各老健ごとに業務は違うと思いますので、あくまでも「当施設の場合」という風にご理解下さい。 8:30-10:00  支援相談員同士で申し送り、通所リハビリテーションの送迎(月~水のみ) 10:00-12:00 予約面接、看護介護部長と病院・自宅訪問(任意の頻度)、他機関との連絡調整(多くはケアマネ)、他職種との情報交換・協議/ベッドコントロール、関係資料作成 12:00-12:30 昼食 12:30-16:00 午前中の業務の続き、通所リハビリテーションの送迎(月~水のみ) 17:15-18:00 施設内サービス担当者会議(木、土、日を除く) 18:00-    記録整理、関係資料作成 19:00     業務終了 業務内容の説明 はい、大体こんな感じです。なお、ベッドコントロールというのは、入所する部屋の入退所の管理のことを指していて、具体的には「○○さんは、9/24の10:00にA号室に入所して9/30の16:00に退所します。」という情報を140床分、エクセルファイルで一元管理しています。このファイルは、院内のローカルエリアネットワーク(LAN)で各パソコンがつながっているため、どこのパソコンからも見ることができます。ですから、各フロアのスタッフも事務員さんもみんなこれを見ながら、いつ・だれが・どこへ入所されるのかを確認します。これ、なかなか大変です。 面接は、インテーク面接、本人面接、契約面接、定期面接の4種類があります。インテーク面接では、初めて当施設を利用と思われたご本人・家族とお会いし、現在の困りごとをうかがい、その中から当施設で該当するサービス(通所、ショート、入所)を紹介したり、あるいはより適切な機関へと送致(照会)しています。 ○インテーク面接 初回来所者は、身体・精神上の障害を理由に日常生活に何らかの困りごとがあり、勇気を振り絞って面接に来てくれる訳です。当然老健のことを100%詳しく知っていられるわけではない。ですから、こちらも「何だ、そんなこともとらないのか。」という態度は禁物です。後述する定期面接も大変ですが、やはり情報や援助関係がゼロからスタートするインテーク面接は、お互いにかなり疲れます。 しかし、適切な情報を提供したり、相手の思いを傾聴することで、家族内で止まっていた時間の流れがゆっくりと、時には急激に動き始めるといった印象を受けます。ここで、当施設の方針(終の棲家ではない)を明確に伝えておくこと、また在宅復帰に向けて協力していく具体的な手立てがあることをきちんと説明しておくことが、あとあと入所後にいきてきます。もちろん、全員がサービス利用に至るわけではなく、相談だけで今は十分という方もみえます。 ○本人面接 受け入れを検討するにあたり、施設長や看護介護部長及び通所リハビリテーション部門の主任に本人に事前に会ってもらいます。ここでは特に診断書などをみながら、身体症状、病状について聞き取りを行います。最近では消費者意識の高まりからか、利用者・家族もご意見をはっきり言われます。(もちろん、そういった方ばかりではありません。また、ご意見の中には的を射ていることもあり改善につながることも)時には「そんな説明は面接の時に聞いていなかった」ということになりかねないため、リスク(疾病からくる発病・怪我の可能性)や施設利用のルールについて かなり細かく説明し、了解をもらいます。 ○契約面接 実際の契約書類の作成を行います。県の指導によりサイン・捺印を押す箇所が多い。具体的な書式例が全国老人保健施設協会のサイトで紹介されています。高齢のご夫婦だと、書類の多さに、それだけでまいってしまう、時に悪徳業者にだまされているのではと警戒されてしまうことがあります。この面接の時に「ああ、措置から契約に変わったんだな」ということを実感します。 ○定期面接 入所したら終了、という訳ではないので、入所後も定期的に利用者・家族とお会いし、現在のお気持ちや今後の方針について伺っています。また適宜必要な情報を提供し、具体的に他機関と連絡調整を行い、結び付けていきます。例えば、初めて介護保険の認定を受けた方で在宅復帰後に介護保険サービスをされる意向がある場合、ケアマネジャーや福祉用具業者、その他サービス事業所などと退所前に連絡調整を取る必要があります。 本人・家族は初めての体験であるため、支援相談員としては支える様な感じで関わります。特に退所前は情報量が多くなり、具体的に何を解決してどんな手続きをすればいいのかが重複しますので、そういったことを分かりやすく説明したり交通整理することも支援相談員の仕事です。具体的に退所日が決まれば(あるいは具体的に決まっていなくても)事前に、本人・家族、当施設の職員、施設外サービス事業所職員、ケアマネが集まり情報交換や意識統一を図ります。 支援相談員の業務と社会福祉士の業務の共通性と現実 社会福祉士法の定義に、「専門的知識及び技術をもつて、身体上若しくは精神上の障害があること又は環境上の理由により日常生活を営むのに支障がある者の福祉に関する相談に応じ、助言、指導、福祉サービスを提供する者又は医師その他の保健医療サービスを提供する者その他の関係者との連絡及び調整その他の援助を行うことを業とする者をいう。 」とあり、上記の仕事はまさに中心的業務となります。 但し、残念なことは、支援相談員のうち、社会福祉士資格を保有している人の割合は低調であり、全国で約4割、愛知県で約6割にとどまっています。マクロデータでみても介護・看護職についで職員数の多い支援相談員。我々が共通言語・価値・倫理を共有し援助の質を高めていくためにも社会福祉士資格は共通基盤として持っておきたいです。