カネミ油症とソーシャルワーク

カネミ油症事件という言葉を恥ずかしながら初めて知りました。下記2つの記事では、九州大学病院油症ダイオキシン研究診療センター(福岡市)が、今年の11月1日付で、長崎県五島市出身の社会福祉士谷尾恵子さんをカネミ油症に関する相談援助職として、五島市に配置したことを報じています。また、同月4日に五島市が市職員としても併任辞令を交付。 基本的には、五島市健康政策課に席を置き同市内にある五島中央病院で行われる油症外来にて医師と連携して、健康に関する相談や、生活相談に応じるとのこと。また、油症被害者を訪問して被害の実態調査も行うとも書かれており、アウトリーチが業務に組み込まれていることは興味深いです。 ご活躍を応援したいと思います。 【参考】 ・牧洋子ほか『転換期の医療福祉―難病・公害病・被爆者問題などへの新たな挑戦 』せせらぎ出版,2005 ・村上須賀子『新時代の医療ソーシャルワークの理論と実際―ヒロシマに学ぶ大学教育出版,2005


カネミ油症:患者救済へ、五島市が相談員配置 臨床試験や治療に専念 /長崎」『毎日新聞』2008年11月5日 五島市の諸谷英敏・副市長は4日、九州大学病院の油症ダイオキシン研究診療センターが今月から同市に配置したカネミ油症のメディカルソーシャルワーカー・谷尾恵子さん(44)に市の事務を兼務する辞令を手渡した。油症被害の実態を把握し、同センターと連携して、今後始まる油症の臨床試験や治療に役立てるのが狙い。認定患者約260人を抱える同市に初めて配置された。  社会福祉士の資格を持つ相談員の谷尾さんは、同市健康政策課に席を置き、同センターが先月から五島中央病院に毎月計4回開設している油症専門の皮膚科、内科と連携しながら未認定患者を含めた油症被害者の健康や医療に関する相談のほか、市の業務である生活相談にも応じる。また、五島中央病院での受診PRを兼ね、油症被害者を訪問して被害の実態調べもする。【椿山公】 〔長崎版〕毎日新聞 2008年11月5日 地方版
五島市の油症患者対象にソーシャルワーカー配置 谷尾さん地元採用」『長崎新聞』2008年11月5日
諸谷副市長(手前)と懇談する谷尾さん(中央)、内副センター長(左)ら=五島市役所
 九州大病院油症ダイオキシン研究診療センター(福岡市、古江増隆センター長)は、油症患者の相談業務などを担うメディカルソーシャルワーカーを一日付で、認定患者約二百六十人が暮らす五島市に配置。同市は四日、市事務職員の併任辞令を交付した。任期は二〇一一年十月末まで。  配置されたのは同市富江町社会福祉士、谷尾恵子さん(44)で、同センターが地元採用。市健康政策課を拠点にして活動するため、市職員併任とした。油症専門のワーカー派遣は全国で初めて。同センターが五島中央病院で始めた「油症外来」の医師との連携、相談業務による患者の病状、要望の把握などを進める。  辞令交付式には、同センターの内博史副センター長らと谷尾さんが出席。辞令を手渡した諸谷英敏副市長は「四十年の悲劇が詰まっている。患者と接し、信用を勝ち得るのが最初の仕事」。谷尾さんは「油症発生から四十年たったが私は無知だった。被害者救済のため、苦しみ、悩んでいることを少しでも軽減できるよう働きたい」と語った。  内副センター長は「患者と直接話し、医師にフィードバックしてほしい。臨床試験を実施する際も医師と患者の間に入ってもらう」と話した。