大垣昌之「入院時訪問の必要性」『理学療法ジャーナル』第42巻第11号,2008,pp.955-957

著者は、高槻病院技術部リハビリテーション科所属(投稿当時は、愛仁会リハビリテーション病院リハビリテーション技術部理学療法科所属)。 (要旨) 回復期リハビリテーション病棟に入院される全患者を対象とした、入院後14日以内に患者宅を訪問する入院時訪問について実践報告している。2005年4月1日~2006年7月31日の間で、自宅退院した417名のうち、入院時訪問を実施したのは87名(実施率20.9%)。 目的は、①発症(受傷)前の生活様式の確認、②住環境の評価が主となる。発症(受傷)前にどのような環境で生活していたかを評価することで、それをより個別的、具体的に理学療法プログラムに反映させるため。 利点としては、①ベッドの位置、それに関連して起き上がる方向、トイレまでの動線、家屋内移動の手段、玄関の段差および広さなど、さまざまなことが早期より情報として得られる。そのため、理学療法の目標およびプログラムをその情報を基に組み立てることができる。 ②患者宅のトイレ、浴室などを使用するために必要な能力、車いす導入の是非なども早期より検討することができる。 方法は、入院相談時または入院当日に、本人および家族に入院時訪問の目的を説明。説明は、医療ソーシャルワーカーあるいは担当セラピスト。協力が得られた場合のみ訪問している。訪問時間は2時間程度。交通費は請求していない。訪問者は、PT・OTが中心。必要に応じて医療ソーシャルワーカー、看護師も訪問している(本人は同席しない)。訪問時は、家屋調査シートを活用。同訪問の診療報酬上の評価は、回復期リハビリテーション病棟入院管理料に包括されているため、独立しての請求は不可。