平成20年支援相談員現任者研修を終えて

昨日は、愛知県医療ソーシャルワーカー協会老人保健施設ソーシャルワーク部会主催の今年度最終研修である現任者研修が開催されました。会場は刈谷豊田総合病院。会場の手配や当日の会場管理などで、刈谷豊田総合病院医療社会福祉部のみなさんにお世話になりました。 50名が参加。参加者の内訳は、支援相談員34名、医療ソーシャルワーカー16名でした。 講師は、首都大学東京の副田あけみ先生。テーマは「ソーシャルワーク記録 -基本を振り返り、実践に活かす-」でした。先生が代表編者となられている『ソーシャルワーク記録―理論と技法誠信書房,2006を基に、午前中は講義、午後は演習とワークショップを行いました。 20090124100055.jpg 印象に残ったのは、2点。 1つは、「型から入って、型から抜ける」 もう1つは、「ソーシャルワーカーが書いた言葉が事実となり権威を持つことにもなる危険性をはらんでいる」 前者は、北星学園大学米本秀仁先生(顔写真)の言葉だそうで、まず初心者は型をしっかりと覚えること。そのあとに、型から抜けて自己の特性を伸ばすことの大切さを説かれていらっしゃそうです。ともすると、ソーシャルワーカーは援助観(クライエントの個別性を重視する)とソーシャルワーカー養成教育の視点を同一視しがちであり、ついつい新人に最初から多様性を教えてしまいます。新人の頃は、まず最低限のことが出来るようトレーニングすることが必要であり、インテークシートやアセスメントシートなど各種ツールを使用することは、バイザーが職場内外いずれかにいるのであれば適切だと思います。いきなり応用をさせることは、研修医に一人で複雑な手術をさせることと同じくらい手順がバラバラです。 そういった考えと非常にマッチした表現だったので印象的でした。 後者は、先生の編著の中で紹介されているレスリー・マーゴリンの著作『ソーシャルワークの社会的構築―優しさの名のもとに (明石ライブラリー)明石書店,2003がベースとなっている指摘であり、私も編著の中で大変印象に残っている部分です。 例えば、ソーシャルワーカーが軽はずみに「理解力が乏しいクライエント」と電子カルテ上に書いた場合、それを読んだ他職種もその様な眼でクライエントを見るようになってしまうといった事がありえます。臨床場面では、「ソーシャルワーカーの言葉が独り歩きしてしまう」と言った表現で指摘されます。そうでなくても良かれと思って書いたことが、他職種やクライエント本人には全く逆の効果を及ぼすこともあります。参加者の感想からもこの指摘は大変印象深いものとなった様でした。 なお、もう一人の編者である国際医療福祉大学小嶋章吾先生は、元医療ソーシャルワーカーとのこと。 20090124163337.jpg 終了後は、参加者も交えて20名近くの方が懇親会に参加してくださり、互いに親睦を深めました。その後は、部会員+αで2次会に。合計5時間ほど飲んでいたので、朝は普段より遅く起きました・・・。今年度の研修は全4回すべて終了しました。色々と経験することができ大変有意義な1年間だったと思います。次年度もますますパワーアップした部会の研修が開催されることをみなさんお楽しみに!! 20090124202344.jpg  ※本記事は個人的な感想であり、部会の見解とは関係ありません。