井部俊子「看護のアジェンダ 〈第49回〉医療専門職の防御服」『週刊医学界新聞』第2815号,2009.1.26

著者は、聖路加看護大学学長。 医療社会学者レネー・C・フォックス(中野真紀子訳)『生命倫理をみつめて―医療社会学者の半世紀みすず書房,2003年に出てくる、「防護服」という概念について紹介。 以下の文章が印象的であった。 フォックスは医師や看護師がその役割を演じようとするとき,「丸裸のまま」では仕事をすることができず防御服が必要であるとしたうえで,「この種の仕事を遂行するためには,彼らがある程度の距離を保って防御できる,知的で情緒的な“衣装”を開発しなくてはならないのです。ただし,彼らが獲得する防御服は,理想としては,穴だらけで透過性の高いものであるべきです。なぜなら,もし,医療専門職があまりにも隔絶した存在になったとしたら,病気を患ったり患者になったりすることを,共感的に理解する能力が,きわめて制限されるようになってしまうからです」と述べている。

 私はさらにこの「防御服」の素材は,良質な専門的知識で編まれるべきであり,少なくとも専門職として相手と対峙するときは,「正しく着用」すべきであると思う。「丸裸」になるのは専門職でなくなるときである。 (出典:井部俊子「看護のアジェンダ 〈第49回〉医療専門職の防御服」『週刊医学界新聞』第2815号,2009.1.26) 翻って、ソーシャルワーカーの場合はどうか。防護服を厚着していないか?丸裸でいないか?防護服の素材は適切か?そういったことを考えさせられた文章であった。