「安定志向で警察官を志望するな」『朝日新聞』2009年7月4日

インタビュー記事。語り手の飯田裕久(ひろひさ)氏は、元警視庁捜査1課刑事。1963年産まれの45歳。現在は、刑事もののドラマ、映画、舞台での企画協力や演技指導などを担当するかたわら、小説『警視庁捜査一課刑事』などの執筆も手掛けている。 TKY200901110079.jpg (朝日新聞HPより転載) 拙論でも課題の2点目(p.5)で取り上げたが、この視点はデータベース以前の時代を知らない新人MSWにとって重要な指摘だと思う。分野は違えど大切なことは共通している。 以下、朝日新聞記事から転載。 


「若い刑事たちはケータイ世代だけにIT(情報技術)には強いですね。今は捜査現場もITによる情報共有化が進んで、昔はベテランが何日もかけて集めていた情報が、一瞬で取り出せます」 -例えば? 「事件である男が容疑者として浮上したとします。その男の素性を調べるのに、昔ならその男を以前に検挙した署に行って、捜査資料を見せてもらわねばならない。難癖をつけてなかなか見せてくれない署もあるが、それを説得して見せてもらう。それが今では、捜査資料はデータベース化されていて、名前を打ち込めば一瞬で見られます。 ただ、これも一長一短。昔のいい刑事なら、手土産でも持って頭を下げて資料を見せてもらいに行き、相手の刑事から捜査資料に書かれてない情報を聞き出してきた。ところが、パソコンで得られるのは資料に書かれていることだけ。ITで捜査のスピード化はできても、プラスアルファの情報はアナログな対人接触でなければ得られない」