疾病利得

「いいですか。疾病利得という言葉は医療界において重要な概念ですよ。分かりますか?この場合、本人から病気を取り上げてはいけません。取り上げてしまうと、本人は現実を直視しなくてはいけなくなる。治療はしてもいいですが、決して取り上げてはいけない。」(by精神科医) スイマセン。知りませんでした。そして意味を知って理解できました。本人の心理的要因と環境的要因の両因子が関与しており、ソーシャルワーカーとしては後者の環境的要因への介入が考えられる。 傷病がないとなかなか受けられない生活保護の場合、受給者から「○○が治らないから仕事はしたくても出来んのだよね。」と生活保護を受給している正当性を暗に、繰り返し言われることがあった。個人の心理的な弱さを批判するよりも、むしろそういった心理にさせてしまう制度的要因を改善することの方が必要だと思った。 当該の現象を用語を当てて的確に表現するという点において医学は長けている。 動画:濱田庸子「身体論 第02回慶應義塾大学 2007/04/18


 身体的あるいは精神的症状によってもたらされる苦痛とは別に患者が獲得する意識的・無意識的な充足感を示す。精神分析理論では、症状によって自己を防衛することができ、結果的に無意識の心理的な充足感を得る第一次疾病利得と(primary gain)と、「会社を休める」「保険による保証金を受け取る」など症状によって現実的な利益が得られる第二次疾病利得(secondary gain)に分けられる。                               出典:『現代社会福祉辞典』有斐閣,2003,p173  症状を呈することによって患者にもたらされる心理的あるいは現実的満足のことで、一次疾病利得と二次疾病利得がある。一次疾病利得はより無意識的なプロセスで、身体的な症状に逃避することによって心的な葛藤に直面することを避けることができることを指す。二次疾病利得は、その症状の出現の結果として現実的な利益を得る(例えば社会から補償を得る、学校に行かなくてすむ、など)というものである。                   出典:『しっておきたい精神医学の基礎知識』誠信書房,2007,p198 関連用語:疾病逃避、ヒステリー、補償神経症、災害神経症