「肝機能の身体障害認定基準を大筋で了承-厚労省検討会」『CBニュース』2009.8.24

いよいよ来年度から身体障害の種類に肝機能障害が追加されることなりそうですね。注目度の高い記事です。
厚生労働省の「肝機能障害の評価に関する検討会」(座長=柳澤信夫・関東労災病院名誉院長)は8月24日、治療を実施したにもかかわらず、「Child-Pugh分類」による「グレードC」の状態に一定期間あり、回復困難な人を身体障害者福祉法における身体障害の認定対象とすることを大筋で了承した。原則として、障害となった原因を問わず認定する方針だ。今後は、厚労省の主導で運用に向けた準備作業を進め、来年度の認定開始を目指す厚労省では、認定対象者は3万-5万人とみている。 【関連記事】 肝機能障害、評価項目を大筋で了承 肝機能障害、アルコール性の扱いが焦点に―厚労省検討会 肝機能評価の指標などで意見交換 「先生、肝炎になってみたらどうか」 肝機能障害の評価検討会が初会合―厚労省  厚労省がこの日提示した報告書案によると、肝機能障害の範囲は、肝機能障害の重症度を評価する「Child-Pugh分類」による「グレードC」の状態に一定期間あって、回復困難なもの。アルコール物質の継続的な摂取により生じる肝機能障害については、摂取をやめれば改善が見込まれる場合もあるため、一定期間摂取を断ち、影響を排除した状況で認定する。  認定基準は、「Child-Pugh分類」による評価を基本とし、補完的な肝機能の検査数値や病状に影響する病歴、日常生活活動に関する症状を総合的に勘案する。  障害等級は1-4級に分類する。肝臓の機能障害により日常生活活動がほとんど不可能なものを「1級」、極度に制限されるものを「2級」、著しく制限されるものを「3級」、社会での日常生活活動が著しく制限されるものを「4級」とする。  1級は、(1)「Child-Pugh分類」=表1=の合計点数が10点以上で、血清アルブミン値、プロトロンビン時間、血清総ビリルビン値の1項目以上が3点の状態が、3か月以上間隔を置いた検査で連続2回以上続く(2)「日常生活活動の制限等」=表2=のうち、「補完的な肝機能診断」および「症状に影響する病歴」に含まれる1項目以上を含む5項目以上に該当する-のいずれにも該当するもの。  また、肝臓移植を行った人については、抗免疫療法を必要としなくなるまでは1級として認定することとした。  2級は、1級の(1)に該当し、「日常生活活動の制限等」のうち、「補完的な肝機能診断」および「症状に影響する病歴」に含まれる1項目以上を含む3項目以上に該当するもの。  3級は、「Child-Pugh分類」の合計点数が10点以上の状態が、3か月以上の間隔を置いた検査で連続2回以上続き、かつ「日常生活活動の制限等」が2級の要件に該当するもの。  また4級は、「Child-Pugh分類」の要件が3級と同様で、かつ「日常生活活動の制限等」の1項目以上に該当するものとなっている。  「Child-Pugh分類」のスコアは、既に検査を実施していた場合、3-6か月前までの検査の結果を1回目の測定結果として使用できる。 ■「5年後に検証を」-和泉構成員  検討会では、肝機能障害の等級を心臓や腎臓などの障害と同じく1、3、4級の3段階にするか、HIVによる免疫機能障害のように1-4級の4段階にするかで意見が分かれていた。  24日の検討会で和泉徹構成員(北里大医学部循環器内科学教授)は、心臓や腎臓など内部障害の患者に「『2級がなぜない。いつできるのか』と質問されたらどう答えればいいのか」と疑問を投げ掛けた。その上で、将来的には肝機能障害以外の内部障害も4段階にする展望がないと「混乱を起こす」との考えを示した。  これに対し、岩谷力構成員(国立障害者リハビリテーションセンター総長)は、障害間の整合性は常に出てくる問題と指摘。肝機能障害については4段階でスタートし、「(問題が生じたら)対策を取る覚悟をするだけではないか」と述べた。  和泉構成員は、「5年後に検証し、一番いいクラス分けにするという合意の上の議論なら賛同するが、これはこれ、あれはあれでは現場に疑問が生じる」とし、認定開始後の検証などを求めた。 【Child-Pugh分類】  肝障害度を評価する分類の一つで、血清総ビリルビン値、血清アルブミン値、PT(プロトロンビン)時間などの進行度別に点数化されており、合計点で重症度が分かる。重症度には、グレードA(5-6点)、B(7-9点)、C(10-15点)がある。