平成22年度診療報酬改定と社会福祉士

平成22年2月10日、平成22年度診療報酬改定の主要改定項目の議論が終了した。今後は、具体的な点数決定やQ&Aでの微調整となる。 今回、2月10日に開催された中央社会保険医療協議会総会(第168回)に、「平成22年度診療報酬改定における 主要改定項目について(案)」が提出された。 ここで2点社会福祉士に関連する項目に変更が見られた。「有るはずのものが無い、無いはずのものが有る」のである。 ○がん患者リハビリテーション料の算定要件について 2月3日に開催された中央社会保険医療協議会総会(第165回)の段階では、「がん患者に対するリハビリテーションについて」において算定要件は、「イ がん患者に対してリハビリテーションを行う際には、定期的な医師の診察結果に基づき、医師、看護師、理学療法士作業療法士言語聴覚士社会福祉士等の他職種が共同してリハビリテーション計画を作成すること。」(p1)と社会福祉士の名称が記載されていた。 しかし、2月10日の資料では、その点が削除され「がんの治療のため入院中の患者に対して20分以上の個別リハビリテーションを提供した場合に1日6単位を限度として算定する。」のみになっていたのである。なお、2月3日時点の文章は、以下の通りリハビリテーション総合計画評価料の算定要件に似通っている。 「定期的な医師の診察及び運動機能検査又は作業能力検査の結果に基づき医師,看護師,理学療法士作業療法士言語聴覚士社会福祉士等の多職種が共同してリハビリテーション総合実施計画を作成し,これに基づいて行ったリハビリテーションの効果,実施方法等について共同して評価を行った場合に算定する。」 ○介護支援連携指導料の算定要件について 1月27日に開催された中央社会保険医療協議会総会(第163回)の段階では「資料(総-6)平成22年度診療報酬改定における個別改定項目について」において算定要件は、「入院中の医療機関の医師又は医師の指示を受けた看護師・薬剤師・理学療法士等が、入院中の患者の同意を得て、居宅介護支援事業者等と退院後の介護サービス等について共同して指導を行った場合に、入院中2回に限り算定する。」となっていた。 実際に、社会福祉士は退院援助を行うに当たって、医師、看護師、リハ等の意見を集約して居宅介護支援事業所等と連携を図っている。この点が反映されていないことについて日本医療社会事業協会が即反応した様で、厚労省社会福祉士も追記するように要望。 その結果が反映されたのかどうかは分からないが、2月10日の資料では、以下の通り社会福祉士が追記されていた。但し、1月27日の時点と比べて適用範囲が「居宅介護支援事業者等」から「居宅介護支援事業者等の介護支援専門員」に狭まっている。 「入院中の医療機関の医師又は医師の指示を受けた看護師・薬剤師・理学療法士社会福祉士等が、入院中の患者の同意を得て、居宅介護支援事業者等の介護支援専門員と退院後に利用可能な介護サービス等について共同して指導を行った場合に、入院中2回に限り算定する。」 「居宅介護支援事業者等の介護支援専門員」とは、具体的に居宅介護支援事業者、地域包括支援センター介護保険施設、その他介護支援専門員を配置している施設を指しているものと思われる。入所・入居前の情報収集において生活相談員、支援相談員ではなく施設介護支援専門員への情報提供が規定されており、ますます生活相談員、支援相談員の役割は制度上希薄な存在となりつつある。やはり、両職種は施設介護支援専門員を兼務する方向で進んでいかないとかなりきつい。 ○その他 栄養サポートチーム加算の施設基準について 施設基準において、「歯科医師、歯科衛生士、臨床検査技師理学療法士作業療法士社会福祉士言語聴覚士が配置されていることが望ましい。」と直接的ではないが望ましい規定で掲載されている。