平成22年度診療報酬改定と社会福祉士(その2)

平成22年2月12日、中央社会保険医療協議会総会(第169回)が開催され、『平成22年度診療報酬改定における主要改定項目について(案)』が提出された。各項目の点数が公表されている。お騒がせの急性期病棟等退院調整加算1は140点と、たった40点の違い…。それよりも介護支援連携指導料 300点(入院中回)の方が高い報酬設定となっている。在宅復帰ケースにおいて介護支援専門員との連携は頻度の多い業務であるため、この診療報酬に社会福祉士がどのように、どのくらいコミットできるか今後の動向に注目である。 昨日の記事で、がん患者リハビリテーション200点の算定要件から社会福祉士が消えたと述べましたが、文章が単に省略されていただけで、きちんと掲載されていました。お騒がせしました。 社会福祉士が、施設基準もしくは算定要件に掲載されているのは、以下6項目。但し、栄養サポートチーム加算では望ましい規定にて掲載されているため影響力は低い。今回も回復期リハビリテーション病棟入院料の施設基準に社会福祉士は追記されず…。残念。
○新生児特定集中治療室退院調整加算 300点(退院時1回) [算定要件] 当該入院期間中に新生児特定集中治療室管理料又は総合周産期特定集中治療室管理料(新生児集中治療室管理料の場合)の算定のある患者について、看護師又は社会福祉士が、患者の同意を得て退院支援のための計画を策定し、退院・転院に向けた支援を行った場合、退院時に算定する。 [施設基準] 退院調整部門が設置されており、当該部門について専従の看護師又は専従社会福祉士が1名以上配置されていること。 ○栄養サポートチーム加算 200点(週1回) [対象患者] 一般病棟入院基本料、特定機能病院入院基本料(一般病棟)、専門病院入院基本料のうち、7対1入院基本料又は 10対1入院基本料の届出病棟に入院している患者のうち、栄養管理実施加算が算定されており、栄養障害を有すると判定された者 等 [算定要件] ① 対象患者に対する栄養カンファレンスと回診の開催(週1回程度) ② 対象患者に関する栄養治療実施計画の策定とそれに基づくチーム診療 ③ 1日当たりの算定患者数は、1チームにつき概ね 30人以内とすること 等 [施設基準] 当該保険医療機関内に、専任の①~④により構成される栄養管理に係るチームが設置されていること。また、以下のうちのいずれか1人は専従であること。 ① 栄養管理に係る所定の研修を修了した常勤医師 ② 栄養管理に係る所定の研修を修了した常勤看護師 ③ 栄養管理に係る所定の研修を修了した常勤薬剤師 ④ 栄養管理に係る所定の研修を修了した常勤管理栄養士 上記のほか、歯科医師、歯科衛生士、臨床検査技師理学療法士作業療法士社会福祉士言語聴覚士が配置されていることが望ましい。 ○【慢性期病棟等退院調整加算】 1 慢性期病棟等退院調整加算1 イ 退院支援計画作成加算 (入院中1回) 100点 ロ 退院加算(退院時1回) (1) 療養病棟入院基本料等の算定患者が退院した場合 140点 (2) 障害者施設等入院基本料等の算定患者が退院した場合 340点 2 慢性期病棟等退院調整加算2 イ 退院支援計画作成加算 (入院中1回) 100点 ロ 退院加算(退院時1回) (1) 療養病棟入院基本料等の算定患者が退院した場合 100点 (2) 障害者施設等入院基本料等の算定患者が退院した場合 300点 [施設基準] 退院加算1:退院調整部門が設置されており、退院調整に関する経験を有する専従の看護師及び専任の社会福祉士又は専任の看護師及び専従の社会福祉士が配置されていること。 退院加算2:退院調整部門が設置されており、退院調整に関する経験を有する専従の看護師又は社会福祉士が1名以上配置されていること。 ○主に急性期医療を担う病棟における退院調整加算の新設 急性期病棟等退院調整加算1 140点(退院時1回) 急性期病棟等退院調整加算2 100点(退院時1回) [対象患者] 65歳以上の患者又は 40歳以上の特定疾病を有する患者であって、一般病棟入院基本料、特定機能病院入院基本料(一般病棟)又は専門病院入院基本料(いずれも特定入院基本料を除く。)を算定している患者。 [算定要件] 適切なサービスの選択や手続き等について、患者及び患者家族に必要な情報提供や、適切な施設への転院等の手続きを行った場合に算定する。 [施設基準] 急性期病棟等退院調整加算1:退院調整部門が設置されており、退院調整に関する経験を有する専従の看護師及び専任の社会福祉士又は専任の看護師及び専従の社会福祉士が配置されていること。 急性期病棟等退院調整加算2:退院調整部門が設置されており、退院調整に関する経験を有する専従の看護師又は社会福祉士が1名以上配置されていること。 ○介護支援連携指導料 300点(入院中回) [算定要件] (1) 入院中の医療機関の医師又は医師の指示を受けた看護師・薬剤師・理学療法士社会福祉士等が、入院中の患者の同意を得て、居宅介護支援事業者等の介護支援専門員と退院後に利用可能な介護サービス等について共同して指導を行った場合に、入院中2回に限り算定する。 (2) 退院時共同指導料の多職種連携加算(B005 注3)を算定する場合には、同日に行った指導について、介護支援連携指導料は算定できない。 ○がん患者リハビリテーション200点(1単位につき) [算定要件] (1) 対象者に対して、がん患者リハビリテーションに関する研修を終了した理学療法士作業療法士言語聴覚士が個別に20分以上のリハビリテーションが提供された場合に1単位として算定する。 (2) がん患者に対してリハビリテーションを行う際には、定期的な医師の診察結果に基づき、医師、看護師、理学療法士作業療法士言語聴覚士社会福祉士等の多職種が共同してリハビリテーション計画を作成すること。 (3) がんのリハビリテーションに従事する者は、積極的にキャンサーボードに参加することが望ましい。 [対象患者] (1) 食道がん・肺がん・縦隔腫瘍・胃がん、肝臓がん、胆嚢がん、膵臓がん、大腸がんと診断され、当該入院中に閉鎖循環式麻酔により手術が施行された又は施行される予定の患者 (2) 舌がん、口腔がん、咽頭がん喉頭がん、その他頸部リンパ節郭清を必要とするがんにより入院し、当該入院中に放射線治療あるいは閉鎖循環式麻酔による手術が施行された又は施行される予定の患者 (3) 乳がんに対し、腋窩リンパ節郭清を伴う悪性腫瘍手術が施行された又は施行される予定の患者 (4) 骨軟部腫瘍又はがんの骨転移により当該入院中に患肢温存術又は切断術、創外固定又はピン固定等の固定術、化学療法もしくは放射線治療が施行された又は施行される予定の患者 (5) 原発性脳腫瘍又は転移性脳腫瘍の患者で当該入院中に手術又は放射線治療が施行された又は施行される予定の患者 (6) 血液腫瘍により当該入院中に化学療法又は造血幹細胞移植を行う予定又は行った患者 (7) がん患者であって、当該入院中に骨髄抑制を来しうる化学療法を行う予定の患者又は行った患者 (8) 緩和ケア主体で治療を行っている進行がん、末期がんの患者であって、症状増悪のため一時的に入院加療を行っており、在宅復帰を目的としたリハビリテーションが必要な患者 [施設基準] (1) がん患者のリハビリテーションに関する経験(研修要件あり)を有する専任の医師が配置されていること。 (2) がん患者のリハビリテーションに関する経験を有する専従の理学療法士作業療法士言語聴覚士の中から2名が配置されていること。 (3) 100㎡以上の機能訓練室があり、その他必要な器具が備えられていること。