「医療自己負担上限4万円に軽減…来年度にも」『読売新聞』2010年5月8日

実現すれば、該当者にとっては大きな負担軽減となります。ただし、注意点は外来の場合、一旦は自己負担全額を払わなければいけないということです。高額療養費払い戻しの手続きをすれば約2-3カ月後に返ってきますがそれまでの間は本人・家族が「立て替え」る必要があります。 抗がん剤治療が1回10万円台ということも少なくないし、更に月に数回実施となったりすれば自己負担は高額となります。がん治療は、入院ではなく外来での抗がん剤放射線治療が主流となってきており、頼みの綱の「限度額適用認定証」も利用できません。 この場合、対策としては以下3つあります。 第1に、医事課に分割支払いの交渉をする。 第2に、高額療養費貸付制度を利用して前倒しで高額療養費の9割を入金してもらう。 第3に、高額療養費の受領委任払いを利用する。 第1の方法は、医療機関側の判断となります。 第2の方法は、通常の高額療養費よりも早く入金してもらえるためありがたいのですが、高額療養費9割と全額ではないので注意が必要です。但し、残り1割は通常の高額療養費手続きと同じタイミングで返金されます。 第3の方法は、なかなか使い勝手の良い制度で、高額療養費の手続きと基本的に変わりはなく、異なるのは高額療養費の支払い先が医療機関とすることで、結果的に自己負担限度額までの支払いでよくなります。この場合、保険者、医療機関側双方の了解をとる必要がありますが効果としては「限度額適用認定証」と同じになります。 場合によっては、第1~3いずれの方法も医療機関側と相談して毎回の支払ではなく、1カ月の支払(レセプト請求)にまとめてもらうと手続きが楽です。 なお、第2・3の方法は保険者によっても実施しているか否かが違うので、詳細はそれぞれの保険者にご確認ください。 あとはこれが選挙対策アドバルーンに過ぎず、財源確保できずに流れないことを願います。 【関連】 ・がん患者の治療費負担 軽減を- NHK 高額医療費:「負担感」年々増加 「金の切れ目、命の切れ目」- 毎日新聞高額医療費:白血病患者、特効薬やめ容体悪化 自己負担、重く毎日新聞 以下、読売新聞HPより転載(赤字は管理者が修正)。
「医療自己負担上限4万円に軽減…来年度にも」『読売新聞』2010年5月8日 政府は8日、医療費の窓口負担が一定額を超えた場合に払い戻す高額療養費制度について、70歳未満の年間所得約300万円以下世帯(住民税非課税世帯は除く)の負担上限額を現行の月額約8万円から月額約4万円に引き下げる方向で検討に入った。  年内に厚生労働相の諮問機関「社会保障審議会」で具体案をとりまとめ、2011年度にも実施したい考えだ。  新制度の適用を受ける対象者は、3000万人程度と想定している。  現行制度では、70歳未満の高額療養費の自己負担の月額上限額は、所得に応じて、「住民税非課税世帯」は3万5400円、「一般所得世帯」(年間所得600万円未満)は約8万円、「高額所得世帯」(年間所得600万円以上)は約15万円となっている。  高額療養費の対象となるのは、がんや神経性難病などの患者が多く、過去12か月以内で3回以上、高額療養費の支給を受けた場合は4回目から半額程度に軽減する特例が設けられている。  しかし、最近は景気低迷で医療費負担に苦しむ患者も増えていることや、効き目が大きい高価な抗がん剤が普及してきたことから、一般所得世帯のうち、約3分の1を占めると見られる所得世帯の負担軽減が必要だと判断した。  厚生労働省によると、高額療養費は、医療費ベースで年1・6兆円(2007年度)。同省の試算では、年間所得約300万円以下の世帯の上限額を半額に引き下げることで、医療費ベースで4000億~5000億円程度、国庫ベースで1000億円以上の財源が必要となるという。実現に向けては財源の確保などの課題がある。  高額療養費制度 1か月の医療費が自己負担の上限額を超えた場合、超過分が払い戻される制度。現行では自己負担の上限額は所得水準によって、70歳未満で3段階、70歳以上で4段階に区分されている。例えば、60歳の患者が腹痛により7日間救急病院に入院すれば、医療費は約42万円、3割負担で約13万円かかるところ、自己負担は約8万円にとどまることになる。