新刊案内

相川書房版のソーシャルワーク研究方法解説書です。 ソーシャルワーク研究所監修『ソーシャルワークの研究方法―実践の科学化と理論化を目指して― 』相川書房,2010.6 ISBN978-4-7501-0362-4 C3036 A5判 262頁 定価 3,150円(本体3,000円) ○内容 ソーシャルワークの研究は、関連する実践、教育、制度政策に変化をもたらすことに貢献する。そこで本書では、研究成果を実践に活用するための思考の枠組みを多様な切り口から提示することを旨とし、研究成果を実践に取り込む方法、および成果の取りまとめの方法等を提起している。 ○目次 第1章 ソーシャルワーク研究の世界の新たな発見  第1節 未知なる存在として「ヒト」を捉え直す  第2節 人をどのように捉え直すのか  第3節 持続可能な社会における家族,コミュニティ,社会環境を見つめ直す  第4節 コミュニティを基盤とする市民参加のソーシャルワークの再考築  第5節 ソーシャルワークにおける伝統的な価値を超える価値について  第6節 ソーシャルワークとソーシャルケア ―ヒューマンサービスの重要性― 第2章 ソーシャルワークの研究方法 ―ソーシャルワーク研究の発展に向けて―  はじめに    1.ソーシャルワークに求められる2つの対立するゴール    2.本論文の基礎となる研究プロセスの共通認識と論文の構成  第1節 ソーシャルワーク研究法の発展の意義    1.アメリカのソーシャルワーク研究がたどってきた道筋    2.ソーシャルワーク研究法の発展の意義  第2節 研究テーマの設定       ―ソーシャルワークの使命,価値・倫理と研究テーマ―  第3節 研究の概念枠組みの設定 ―論理的な研究対象の理解―  第4節 理論とは? ―理論応用と理論形成―      モデル作りに貢献する「介入研究」  第5節 リサーチデザインの選択 ―どんな方法を使って研究をするのか―    1.実験デザイン対非実験デザイン    2.帰納的対演繹的    3.日本の研究者にとっての演繹的アプローチ    4.実践家が実践の成果を評価する研究方法   おわりに ―今後の課題とその解決方法― 第3章 研究テーマの抽出方法と研究計画の設計  第1節 研究テーマの抽出方法  第2節 研究計画の設計    1.研究テーマ    2.研究の動機と目的    3.研究の背景    4.研究の意義    5.倫理的配慮    6.研究方法    7.研究経費    8.役割分担    9.研究の全プロセスのタイムテーブル    10.研究採択に向けた研究計画書 第4章 ソーシャルワークにおける先行研究の意義と文献検索の方法  第1節 先行研究の意義  第2節 ソーシャルワークの先行研究の批判的検討  第3節 図書館活用方法  第4節 データベース GeNii 活用法  第5節 外国文献検索  第6節 専門文献の検索  第7節 情報の宝庫としてインターネット  第8節 アナログ方法による資料探索  第9節 一次資料と二次資料  第10節 社会福祉学研究における一次資料への接近  むすびにかえて 第5章 ソーシャルワークにおける研究論文の取りまとめ方  第1節 研究を取りまとめる意義  第2節 研究論文の構成    1.論文の組み立て    2.論文の章立て  第3節 研究論文のスタイルガイド    1.研究論文を読んでもらうために    2.投稿規定    3.執筆要領    4.引用の方法    5.文献リストの作成  第4節 APAスタイル    1.APAスタイルとは    2.APAスタイルの引用法    3.APAスタイルの英文引用文献リストの作成の仕方  第5節 図表の取り扱い    1.論文における表の取り扱い    2.論文における図の取り扱い  まとめ 第6章 ソーシャルワークの演繹的研究方法  はじめに  第1節 ソーシャルワーク実践理論の演繹的生成  第2節 ソーシャルワーク実践理論の検証方法    1.概念と仮説の操作化    2.分析モデルの設定    3.概念の測定と尺度開発    4.信頼性と妥当性    5.標本抽出     6.統計的検定  第3節 演繹的研究とソーシャルワーク実践のエビデンス    1.エビデンストは何か    2.ソーシャルワークにおけるエビデンスをめぐって  第4節 ソーシャルワークの演繹的研究をめぐる論点    1.研究対象 ―社会的排除からエンパワーメントへ―    2.研究方法 ―「普遍」対「特殊」および「主観」対「客観」―    3.研究主体    4.研究倫理  むすびにかえて 第7章 ソーシャルワーク研究における帰納的研究方法の意義と課題      ―「当事者研究」を通しての考察―  はじめに  第1節 帰納法とは ―さまざまな推論の立て方をめぐって―  第2節 「当事者研究」群における帰納法的研究の意義    1.サービス効果または機能についての評価分析を意図した研究    2.当事者のニーズを含むある種の実態把握を意図した研究    3.当事者体験の分析を意図した研究  まとめにかえて 第8章 ソーシャルワークにおける介入研究の方法  第1節 介入研究とは何か    1.「介入」と「介入研究」    2.介入研究のタイプ:D&Dとサービス・プログラム開発    3.介入研究の実際  第2節 デザインと開発(D&D)の方法    1.Rothman,J.のD&D    2.Fraiser,M.の介入研究の手順    3.芝野松次郎のM-D&D    4.野口啓示の「家族再統合実践モデルと実践マニュアル」  第3節 介入研究としてのD&D/M-D&Dの課題    1.D&D/M-D&Dの必要性    2.研究の進展が遅い理由    3.D&D/M-D&Dの推進 第9章 ソーシャルワーク研究における質的・量的ミックス法  はじめに  第1節 ミックス法とは  第2節 ミックス法の調査パラダイム  第3節 調査デザイン    1.ミックス法における演繹と帰納    2.基本となるデザイン    3.デザインの設定  第4節 データ収集法  第5節 データ分析法  おわりに 第10章 ソーシャルワーク研究における批判的分析の方法       ―理論と実践の間隙を「埋め」「繋ぐ」作業のために―  はじめに  第1節 実践場に機能しないソーシャルワークの諸相  第2節 批判的分析を奨める基本的視座  第3節 内省的思考に基づく脱構築分析から再構築への取り組み  第4節 ソーシャルワークにおける技術論志向に対する懐疑的思考方法への誘い  第5節 ソーシャルワークの支援過程を批判的に分析する研究方法の視座    1.生きにくさ,暮らしづらさをもたらす要素を分析する視角    2.「悲しみを分かち合う」ことに根ざす支援の方針や       実際をデザインするための要素を分析する視角  まとめ 第11章 ソーシャルワーク研究における結果の解釈とその方法  はじめに  第1節 ソーシャルワーク研究における「結果の解釈」がもつ特質    1.「解釈(意味づけ)」の位置    2.事象の客観的把握だけでなく援助への指向性をもつこと    3.「情報・データの収集」との連続的理解  第2節 解釈(意味づけ)の方法    1.解釈(意味づけ)の「方法としての形態」    2.解釈(意味づけ)の「方法としての内容」  第3節 解釈(意味づけ)のための基本的視座       ―解釈への価値の反映に向けて―    1.「存在」を尊重するという視座    2.本人の側から理解するという視座    3.主体性を喚起するという視座    4.システムに働きかけるという視座    5.新しい「出会い」を創造するという視座  おわりに 第12章 ソーシャルワークにおける研究報告の方法  はじめに  第1節 研究報告のABC(基本型)  第2節 プレゼンテーションにおける言語的および非言語的コミュニケーションのスキルについて    1.言語的コミュニケーションスキルについて    2.非言語的コミュニケーションスキルについて    3.発表の時間配分と制限時間について    4.パワーポイントの活用と留意点について    5.レジュメの作成と留意点    6.録画・録音した映像資料や音響資料ならびに黒板・ホワイトボードの活用    7.手話通訳者や要約筆記者の配置について  第3節 質疑応答におけるディスカッションについて  まとめ 第13章 ソーシャルワークにおける教授法 ―総論・各論の教授法―  はじめに  第1節 ソーシャルワーク教育をめぐる状況    1.ソーシャルワーク教育をめぐる状況の変化    2.研究対象としてのソーシャルワークの教授法への取り組み  第2節 学術会議報告書から見えてくるもの       ―ソーシャルワーク教育に何を求めているか―    1.1991年「ソーシャルワークの教育・研究について       (とくに保健・医療領域におけるソーシャルワーカーの資格・教育を中心に)」    2.1997年「社会福祉に関する研究・教育体制の拡充・強化について       ―高齢社会に対応する社会サービスの総合化対策の一環として―」    3.2000年「社会サービスに関する研究・教育の推進について」    4.2003年「ソーシャルワークが展開できる社会システムづくりへの提言」    5.2008年「近未来の社会福祉教育のあり方について       ―ソーシャルワーク専門職資格の再編成に向けて―」  第3節 ソーシャルワーク教育の固有性    1.理論をなぜ学ぶのか    2.総論と各論  第4節 ソーシャルワーク教育過程モデルの構築に向けて       -総論・各論をどう教えるか-    1.ソーシャルワーク過程モデル提示の試み    2.ソーシャルワーク教育過程の具体的展開 おわりに