「定款変更 可決されず MSW協、認定制限に疑義」『福祉新聞』2010年6月7日

「定款変更 可決されず MSW協、認定制限に疑義」『福祉新聞』2010年6月7日 公益社団法人への移行を目指している日本医療社会事業協会(笹岡眞弓会長)は5月28日、2010年度定期総会を開いた。定款変更を議案としたが、賛成が定数に届かず可決されなかった。同協会の事業として「認定社会福祉士(医療分野)」の認定制度を創設することに疑問が続出。同協会は8月8日に臨時総会を開いて再度定款変更を審議する予定だが、28日の笹岡会長の説明に疑問が生じている。 同協会は医療ソーシャルワーカー(MSW)らで構成する職能団体で、現在は社団法人。公益社団法人を目指すのは、保健医療の専門知識・技能を持つ社会福祉士の認定制度として「認定社会福祉士(医療分野)」を創設するためだ。 「認定資格に権威を持たせるには、認定機関となる協会が公益事業を行う団体として認められることが必要」という判断だ。 新しい定款案は、新規に入会する目的に賛同して入会した社会福祉士の資格を有する個人」と規定。協会の事業として「社会福祉士に資格を付与し、資格者による福祉サービスの向上を図る事業」を盛り込み、協会名を「日本医療社会福祉協会」に改めている。 同協会は研修受講歴など一定の要件を満たす人からの申請を6月1日から受け付けることとし、会員に認定制度の手引きを配布済み。10年度は600人が認定され登録するものと見込んだ予算案や事業計画案は、総会で可決された。  しかし、同協会や日本社会福祉士会などで構成する「専門社会福祉士研究委員会」は、第三者機関が研修の実施団体を認定し、その研修を経て要件を満たした社会う福祉士を12年度から認定する構想を今年3月に発表。そのため、会場からは「認定制度を本協会が創設することは、日本社会福祉士会との間で話がついているのか」といった整合性を問う質問が相次いだ。  これに対して笹岡会長は、「同会と話はついている。専門社会福祉士に至る中間段階としての認定社会福祉士は5つの分野ごとに今後検討することが決まり、医療分野を私たちの協会が担うことの合意は当然得ている」と回答。同協会が研究委員会の構想と別の認定制度を作ろうとしているわけではないことを強調した。  一方、日本社会福祉士会は6月1日、本誌の取材に対し「第三者機関自体がまだないので、どこかの団体を研修の実施主体として認めることはできない。まして本会が認めることなどありえない。もし、笹岡会長がそのように発言したならばそれは事実として異なっており、非常に遺憾だ。本会会員が混乱するのではないかと懸念する」と回答した。