2011年度フレッシュ医療ソーシャルワーカー1日研修会(愛知会場)

5月15日総合上飯田第一病院(愛知県名古屋市北区)にて、日本医療社会福祉協会主催、2011年度フレッシュ医療ソーシャルワーカー1日研修会(愛知会場)の講師をしてきました。初の日本医療社会福祉協会での講師役。依頼を受けてからの約1ヶ月間、準備も含めとても緊張しましたが、大変良い経験となりました。 20110515101012.jpg 20110515145319.jpg 当日は、22名の新人MSWが参加(ほぼ就職2か月目だそうです)。 ・病院の所属県は、愛知が半数でしたが、他にも岐阜、三重、静岡から来てくれていました。 ・全員が病院のソーシャルワーカー老健や地域包括からの参加者はいませんでした。 ・病院種別では、急性期病院が大半で一部、回復期病院、ケアミックス型の病院もありました。 ・全員が社会福祉士の資格を保有。 ・日曜日の開催でしたが、1人職場の方はおられず、2人職場が2名、3-5人職場が10名、6人以上も10名でした。意外と職場に同職種が多い病院に勤めている人が多く驚きました。 全体の構成は以下の通り。 1.日本の医療ソーシャルワーカーの歴史的経過 講師 内藤雅子 (公社)日本医療社会福祉協会副会長 済生会京都府病院 2.東日本大震災での当協会の活動報告 講師 権田吉儀 (公社)日本医療社会福祉協会常任理事 総合上飯田第一病院 3.先輩から学ぶ医療ソーシャルワーカーの心構え 講師 樋渡貴晴 刈谷豊田総合病院 4.国民健康保険制度 一部負担金を考える…減免制度の活用… 講師 権田吉儀 (公社)日本医療社会福祉協会常任理事 総合上飯田第一病院 5.交流会 ちなみに先輩とは、経験年数5年程度の先輩医療ソーシャルワーカーだそうで、私は講師というよりは、参加者に近い存在としてお話をさせて頂きました。 当日使った資料は、母屋の方にUPしておきますので、ご笑読ください。 資料作成において、念頭に置いたことは、①社会人としてのマナーを身に付ける、②自分が学びたいと思った時にどうすれば学べるのかその方法論を伝える、③これからMSWとして成長していく上で必要な研修や関連学会などその全体像を提示する、④抽象的にではなく極力具体的に書く、という4点でした。特に①については、大谷京子「第1章 病院ってどんなところ?」荒川義子編『医療ソーシャルワーカーの仕事』川島書店,2000,pp.1-7を参考としました。 他の東京・大阪会場の講師の方がどういった報告をされたのか、大変興味深いです。 講師をして思ったことは、以下の通り。 ○良かった点 ・パワーポイントの配布資料を渡したことは、あとから各自で読み返せるという点で良かった。やはり今後もハンドアウトは報告とセットで作成する。 ・冒頭で自分の新人時代の失敗談を話したことは、興味を持ってもらうために有効だった。これは、原稿のチェックをしてくれた職場の上司のアドバイスで挿入した。 ○悪かった点 ・スライドの内容ばかりに頼らず、もう少し余裕をもってゆっくりと話をすることに慣れる必要がある。スライドの文字を読み続けると、どうしてもペースが早くなり読み手も聞き手もお互いに疲れる。 ・報告の2週間前に左腕を骨折。当日はシーネ固定のままお話をし、お見苦しい報告となってしまった。みなさん、当日の予定を空けて来て下さる。講師をすることはとてもエネルギーが必要なので、体調を整えて当日にのぞめるように気を付けることが必要。 今回の講師役を提案して下さったTさん、本当にありがとうございました。 また、当日とても実りある出会いを作ってくれた上司に感謝します。 当日紹介した文献を掲載しておきます。 荒川義子編『医療ソーシャルワーカーの仕事』川島書店,2000 コメント:就職した4月に読んだ本。 主に新人SWを対象に書かれている。巻末には推薦図書を掲載。必読文献 大本和子ほか『新版 ソーシャルワークの業務マニュアル』川島書店,2004 コメント:『医療ソーシャルワーカーの仕事』と同じく、業務を行っていく上での基礎となる本。 ドロシー・デッソー(上野久子訳)『ケースワーク スーパービジョン』ミネルヴァ書房,1970 コメント:スーパービジョンに関する40年以上前に刊行された古典。大学図書館で手に取ってみては。 週刊社会保障編集部編『平成23年社会保障便利事典』法研,2011 コメント:社会保障全般について、制度概要・問い合わせ窓口など大まかな内容が掲載されている。学校で習った社会保障制度を実務で活用するために有用。 『診療点数早見表』医学通信社 コメント:2年に1度の診療報酬改定時に必ず購入。診療点数、診療点数の算定要件や施設基準などほぼ全てのルールが掲載されている。疑義解釈や通知も添付されており有用。行政担当者、診療所事務、訪問看護所長との協議時に威力を発揮。 透析医療ソーシャルワーク研究会編『腎臓病患者の社会保障ガイドブック』社団法人全国腎臓病協議会,2007 コメント:覚えるまでが大変な腎臓病患者を対象とした複雑な各種社会保障制度や社会資源が整理されて1つの冊子にまとめられている。2010年12月から私も腎臓内科を担当することになり大変重宝している。編者の研究会は地元愛知県で活躍している。 生活保護手帳』『生活保護手帳 別冊問答集』中央法規,2010 コメント:貧困と疾病の関係は密接であり、貧困問題への援助はSWの原点。生活保護ケースワーカーと時に協働し、時に闘うためには必須。 東京ソーシャルワーク編『 How to 生活保護―申請・利用の徹底ガイド 雇用不安対応版』現代書館,2010 コメント:生活保護ケースワーカーや病院SWといった、実際に生活保護を運用・活用している実務家が書いた実用書。「生活保護実践Q&A」の章は大変参考になる。1991年が初版で6回の改訂を重ねており、出版から20年の実績がある。 日本社会福祉実践理論学会『【新版】社会福祉実践基本用語辞典』川島書店,2004 コメント:同学会(現:日本ソーシャルワーク学会)の基本テーマ「社会福祉実践の基礎概念・用語の統一」を形にしてもの。1989年が初版。2回の改訂。社会福祉の専門家として専門用語を使用する際に定義を確認するために有用。197頁とコンパクト。