「高額療養費の見直し案を提示- 厚労省、中低所得層の負担を軽減」『CBニュース』2011年10月12日

第46回社会保障審議会医療保険部会配付資料 http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001r2af.html 以下、CBニュースホームページより転載。
「高額療養費の見直し案を提示- 厚労省、中低所得層の負担を軽減」『CBニュース』2011年10月12日  厚生労働省は10月12日の社会保障審議会医療保険部会(部会長=遠藤久夫・学習院大経済学部教授)で、高額療養費制度の見直し案を示した。年収の幅が大きい「一般所得者」の区分を細分化し、中低所得層の自己負担の軽減を図るほか、年間上限額を設定する。

写真ニュース 高額療養費制度の見直し案が提示された医療保険部会(10月12日、東京都内)

 現行制度では、70歳未満の当初3か月の自己負担月額は、「低所得者」(住民税非課税)が3万5400円、「一般所得者」(年収約210万-790万円)が8万100円、「上位所得者」が15万円と区分されている。4か月目以降は、それぞれさらに軽減される。厚労省によると、年収300万円以下の中低所得層(70歳未満)は、2009年度に約2700万人。5年間でおよそ300万人増えており、セーフティネット機能を強化する必要性が指摘されていた。  見直し案では、この「一般所得者」を3つに細分化。当初3か月では、▽年収300万円以下は4万4000円▽年収300万-600万円未満は6万2000円▽年収600万円以上は8万円―とし、所得に応じ、よりきめ細かく負担額を設定した。「低所得者」についても、現行より400円低い3万5000円に見直す。  このほか、月額の上限を超えないために支給されないといった問題を解消するため、年間上限額を新たに設定。案では、「低所得者」は25万9000円、「一般所得者」は年収300万円以下が37万8000円、年収300万円超が50万1000円、「上位所得者」は99万6000円とした。  70歳以上についても、所得に応じた再区分と年間上限額の設定を行う。  政府・与党の社会保障と税の一体改革成案に基づき、高額療養費制度の見直しに必要な財源は、「受診時定額負担」の導入で確保するとしており、外来の初・再診時の窓口負担に一律100円程度を上乗せすることを想定。加えて、低所得層の多い市町村国保の財政支援のため、公費拡充も必要とした。一方で、受診時定額負担を導入する際は、「低所得層に配慮すること」とされており、住民税非課税世帯などの負担を軽減した場合は、確保できる財源も縮小することになる。  この日の協議では、高額療養費制度の見直し案自体に異論は出なかったものの、受診時定額負担に対しては、負担の公平性や受診抑制の懸念といった観点から、依然として反発や疑問視する声が相次いだ。