新刊案内

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武川正吾ほか編『格差社会の福祉と意識』東京大学出版会,2012/4/24 ○内容 格差社会と称される現代日本社会.そこに生きる私たちは,格差や不平等をどのようにとらえ,またどのような社会のあり方,制度や政策を望んでいるのか.暮らし向き,高齢化,少子化,健康・医療など,実証データから日本人の社会意識とそのメカニズムを描き出す. ○目次 福祉を意識からとらえる 2000年代の社会意識の変化―ネオリベラリズム福祉国家か 人びとの暮らしとその将来見通し―生活意識の視点から 誰がどんな少子化対策を支持するのか 高齢者介護に関する意識 健康と社会保障政策についての態度 福祉社会における企業のあり方 自由の規定要因とジェンダー不平等―階層測定の単位に関する論争から 若者の社会保障への期待―国民年金制度に対する意識からみた世代間関係 格差社会の意識構造 ハートレー ディーン(福士正博訳)『ニーズとは何か』日本経済評論社,2012/04 ○内容 ニーズは社会政策の中心的概念である一方、定義が難しい、わかりづらい概念である。持続可能な社会を構想する上で、ニーズをどのように考えるべきなのか。ニーズをめぐる言説を整理する。 ○訳者略歴 福士 正博 東京経済大学経済学部教授(地球環境問題、コミュニティの経済学担当)。1952年北海道生まれ。東京大学大学院農学系研究科博士課程修了。農学博士(東京大学)。東京大学農学部農業経済学科助手、国立国会図書館調査及立法考査局調査員を経て現職 ○目次 第1章 序論 第2章 本質的ニーズ 第3章 解釈されたニーズ 第4章 貧困、不平等及び資源分配 第5章 社会的排除、ケイパビリティ及び承認 第6章 人間の福利の薄さと厚さ 第7章 ヒューマン・ニーズと社会政策 第8章 ニーズを権利に翻訳する 第9章 ヒューマン・ニーズの政治学 久塚 純一ほか編『医療・福祉を学ぶ人のための法学入門』法律文化社,2012/4/30 ○内容 医療・福祉の現場で起こりうる事例をとりあげ、臨場感をもって修得できるようにした。国試出題傾向から学習すべき項目を厳選。前著『福祉を学ぶ人のための法学』法律文化社,2007/10の改題・改訂版。 ○目次 序章 医療・福祉を学ぶ人のための法学(「医療・福祉」と「法」 医療・福祉の専門職養成と法 法学の基礎知識) 第1章 民法(民法総則 物権 債権 親族 相続) 第2章 憲法(憲法の基本原理 基本的人権 統治機構) 第3章 行政法(行政法の基本原理 行政のしくみ 行政作用 行政手続、情報公開 行政不服審査 行政事件訴訟 国家賠償) 終章 社会生活と法(医療・福祉と法 医療・福祉と契約 ソーシャルワークと関連法 刑法と医療・福祉の関わり 医療・福祉専門職の法的責任) 三井さよほか編『ケアのリアリティ: 境界を問いなおす (現代社会研究叢書) 』法政大学出版局,2012/5/8 ○内容 〈ケア〉と呼ばれるなかには、看護、介護、介助、支援、援助、サポートなど、複数の選択肢が含まれている。こうしてケアは、その内部ではさまざまな分割線によって切り分けられると同時に、その外部に対する多層的な境界線によって区分されている。本書は、さまざまな現場でなされているケアの営みから、そこに生じる諸問題を検証しつつ、ケアのもつリアリティと可能性を探究する。 ○目次 はじめに (鈴木 智之) 第1章 〈場〉の力──ケア行為という発想を超えて(三井 さよ) 一 〈場〉という発想 二 〈場〉がなしうること 三 〈場〉の力を育む工夫や仕組み 四 ケア行為という発想の限界 五 〈場〉にケア提供者はどう働きかけるのか 六 ケア行為という発想を超えて 第2章 名付けられぬものとしての「介助」── 障害の親をもつ子どものリアリティ(土屋 葉)  一 子どもは介助に「慣れて」いるのか? 二 子どもが行なう「あたりまえの行為」 三 有償の介助者として働くことと、その葛藤 四 子どもにとって「介助」とは 第3章 アイデンティティを保ち作るケア──若年認知症の人の新しい社会関係と自己への移行をめぐって(井口 高志) 一 「その人らしさ」を保ち作ろうとする家族と本人 二 デイサービスAに集う人々の語り 三 本人のアイデンティティを保ち作る 四 家族によるアイデンティティの維持から見えてくること 第4章 受ける側からみる「介護」──ホームヘルプサービスを利用する高齢者の語りから(齋藤 曉子) 一 「介護」の多様化と受ける側の意識 二 インタビュー調査の概要 三 「介護」を受けることの認識 四 「介護」に何を求めるのか?──「仕事」と「会話」の狭間で 五 家族や近隣の人による「介護」 六 受ける側にとっての「介護」 第5章 遠距離介護と同居問題──「なぜ?」はどのように語られるのか(中川 敦) 一 遠距離介護の社会学に向けて 二 家族介護研究における「なぜ?」 三 なぜUターン同居をしないのか? 四 なぜ呼び寄せ同居をしないのか? 五 遠距離介護のリアリティ 第6章 悲しむ主体としての看護師──遺族ケアの手前で考えるべきこと(鷹田 佳典) 一 医療従事者による「遺族ケア」の前提を問いなおす 二 患者の死を経験する 三 遺族との関わりの継続とその困難 四 悼む過程をともに 第7章 未決の問いとしてのがん告知──その後を生きる患者の語りから(田代 志門) 一 病院から在宅へ 二 日本におけるがん告知 三 在宅がん患者の告知体験の語り 四 告知後のケアを考える 五 「個人誌の断絶」を生きる困難 第8章 死にゆこうとする身体のために──応答としてのケアとその臨界(鈴木 智之) 一 呼びかけに応えるということ 二 父の最後の二日間について 三 そこに「人がいる/いない」ということ 四 剥き出しの身体 五 その身体の傍らに居続けるために あとがき  人名・事項索引 執筆者紹介