新刊案内

スクールソーシャルワークの第一人者による新書。
山下英三郎『修復的アプローチとソーシャルワーク明石書店,2012.6.7 A5・212ページ ○著者紹介 1946年生まれ。日本社会事業大学名誉教授、日本社会事業大学大学院特任教授。1969年早稲田大学法学部卒業。社会人経験を経た後1983年にユタ大学ソーシャルワーク学部修士課程に入学、1985年に同課程を卒業。1986年から埼玉県所沢市において、わが国で初のスクールソーシャルワーカーとして実践活動を行う。1997年から日本社会事業大学教員。1987年から2010年までフリースペースの運営に携わる。また、1999年から今日に至るまでモンゴルの児童支援を継続している ○内容 個人あるいは集団間の葛藤や対立を、関係者相互が対話によって平和的に解決する方法である「修復的対話アプローチ」(Restorative Approaches)に着目し、主に学校現場の事例を考察しながらソーシャルワークへの適用を探る意欲作。 ○目次 はじめに 第1章 ソーシャルワークと修復的アプローチ  なぜ修復的アプローチなのか  修復的アプローチとソーシャルワーク   1 ソーシャルワークと修復的アプローチの構造   2 ソーシャルワークサービスの硬直性の打開   3 ソーシャルワーク実践の具体性と実践領域の拡大 第2章 対話不在の状況  コミュニケーションへの渇き  いじめ問題を手がかりとして   1 いじめを巡る状況   2 いじめの定義と構造   3 海外の状況   4 いじめ対応の現実  いじめ事例の検証   1 事例1――岩脇寛子さんのケース   2 事例2――古賀洵作君のケース   3 まとめ  厳格な対応――ゼロトレランス 第3章 修復的アプローチ:対話への模索  コンフリクト――負の連鎖を断ち切るために  修復的アプローチとは  修復的司法の原理および目的  修復的司法の沿革  わが国における動向  コンファレンスおよびサークルの実際   1 コンファレンス   2 サークル  修復的司法の評価と課題 第4章 修復的アプローチの源流  ネイティブアメリカン――ホゾージ・ナハト(Hozhooji nahat)  マオリ族――ワカワ(Whakawa)  ハワイ――ホ’オポノポノ(Ho'oponopono)  ウブントゥ(南アフリカ)  追補:アーミッシュにおける赦し  伝統的アプローチの現代社会における意義 第5章 学校における修復的アプローチ  学校におけるコンフリクト対応  修復的アプローチの学校における適用  学校における修復的アプローチ実践  いじめと修復的アプローチ  学校における修復的アプローチの評価 第6章 修復的アプローチの実際  ウィスコンシン州オシュコシュ学校区   1 背景   2 視察の結果について   3 現地視察を終えて  オーストラリア――ローゼール公立小学校 第7章 修復的アプローチの課題と展望  調和的な関係構築のために  修復的アプローチ――生き方の指標  引用・参考文献/参考資料  あとがき