日本家族研究・家族療法学会 第29回大会

6/1-6/3と、初めて日本家族研究・家族療法学会 第29回大会に参加しました。 http://www.conet-cap.jp/jaft_conf2012/ 名古屋から会場の山口県総合保健会館まで新幹線で片道3時間。初の山口県でしたが、思いのほか早く着くんですね。 ○1日目 会場に到着してすぐに、一般演題が開始。藤田保健衛生大学病院がん相談支援室の浅野正友輝氏の発表を拝聴しました。 http://www.fujita-hu.ac.jp/HOSPITAL1/common/support.html 家族システムズ論の考え方を適用したアセスメントに基づく相談援助の展開を具体的に学ぶことができました。 他にも臨床心理士の方々の発表を拝聴。IP(Identified Patient)、遮断、ジョイニング、コンプリメント?聞き覚えのない単語がたくさん出てきて最初は戸惑いましたが、実際に相談援助を行っている行為を概念化したものだと思えば理解はしやすかったです。 午後は、大会企画シンポジウムⅠ  『家族療法 どう学び、どう使う?』に参加。大園秀一氏(小児科医)、門田隆浩 (臨床心理士)の発表は、テーマに沿った興味深いもので、日常の業務に家族療法を活かすための試行錯誤の過程がよくわかりました。コンテンツを知ることと、コンテクストを理解することの違いや、知ることと、使えることの違いという話に、なるほどと思い、これから自分が家族療法を学ぶにあたってとても参考になる視点をもらえた気がします。 もうひとつ自主企画シンポジウム「タイトル忘れ」に参加。社会福祉士養成校の教員3名から、授業の中で家族療法を学生にどう伝えていけばよいのか、についてそれぞれの取り組みを拝聴しました。3名とも本当に真面目に学生と向き合っていて、学生時代、先生たちはこんなに一生懸命教えてくれていたのに、自分は授業をまともに聞いていなかったなーと反省。 1点気になったのは、「社会福祉士が名称独占にしか過ぎないから○○」という表現。社会福祉士の社会的認知が高まらないという理由として使用されるのを散見しますが、理学療法士作業療法士など社会福祉士と同じ名称独占でもしっかりと業務確立している職種が確かに存在することをどう説明するのかと疑問に思いました(二木2009)。 http://www.inhcc.org/jp/research/news/niki/20091101-niki-no063.html#toc2 夜は、愛知県から来ていたお二人とろばた焼居酒屋『磯くら』へ。 http://www.kusizou-isokura.com/ いやー、すべての料理がおいしかったです。特に焼いた金太郎という魚が印象に残りました。ちょっと食べ過ぎた…。その後、浅野正友輝氏の取り計らいで、ルーテル学院大学の福山和女先生・同大学院福山ゼミ修了生のみなさん、金城学院大学浅野正嗣先生と交流。同席した、大分県のOさんは私のBlogをかなり詳しくご覧いただいていた様で、大変恐縮です。 家族療法の入門書を読んで単語の意味につまづき挫折した経験を福山先生にお話ししたところ、家族療法を学ぶにあたって大変貴重なアドバイスをいただけました。感謝感謝。 20120601185213.jpg お店思案中のお二人。二人ともとってもパワフルです。 ○2日目 大会企画シンポジウムⅡ 『家族療法 どう教え、何を伝える?』に参加。金城学院大学浅野正嗣先生の発表では、30代前半から精力的に家族療法の学習をしてこられたことを知り、現在同じ30代前半である自分が如何に受け身で日々過ごしているか反省させられました。今回の学会で一番印象に残ったとだと思います。また、壇上にソーシャルワーカーがいるということに勇気づけられました。 このシンポジウムでは、臨床心理士養成をしている教員からの発表が2題ありました。その中で、臨床心理士の中で家族療法を学ぶ人は決して多くはない、個人療法から家族療法に対象を広げることに戸惑いを感じる臨床心理士もいる、資格制度化がなされていないことによる身分保障の問題、臨床心理士養成後の就職先確保の課題など、新鮮な話が聞けました。 20120602160245.jpg 大会企画シンポジウムⅡ 『家族療法 どう教え、何を伝える?』の様子 ○3日目 『弁証法的行動療法と弁証法的行動療法家族スキル訓練:感情調節困難のための支援アプローチ』 講師 : 遊佐安一郎(長谷川メンタルヘルス研究所) に参加。まる1日、講義とロールプレイ。ずっとロールプレイをやるのかとかなり覚悟を決めて行ったのですが、参加者に負担が少ない配慮がなされていました。承認という面接技術の重要性について、ロールプレイで体感することが出来てよかったです。ちょうど行きの新幹線で、遊佐先生の『家族療法入門 システムズ・アプローチの理論と実際』星和書店,1984を読んでいたので、本人とお会いできてよかったです。やはり一度直接お会いした人の本は、読んでいても入ってきやすいので。 20120603131058.jpg アやまぐち。宿泊場所からかなり遠かった… 20120603131107.jpg 山口は快晴なり ○大会に参加してみての感想 MSWとして就職して9年目。日常業務はそれなりに対応出来るようになってきた(無論、出来ていない課題もあります)と思うのですが、一方で援助過程で面接内容の浅はかさを感じることがあります。より深いところで患者・家族に面接で手当て(奥川2007)ができる様になりたい、そのための方法として家族療法を学んでみたい、と思い本学会に参加しました。参加してみてよかったなというのが感想です。但し、家族療法を学ぶということは一生ものであり、スーパーバイザーの下での学習と実践の繰り返しが重要であることを知りました。 面接の奥の深さを知った3日間だったと思います。