「チーム医療で変わったがん医療の10年- 多職種によるシンポジウム」『CBニュース』 2012年06月19日

社会資源につなげることも大切であり、情緒的サポートも同様に大切だと思います。両者のバランスはクライエントの置かれている状況に合わせて、適宜調整が必要です。
「チーム医療で変わったがん医療の10年- 多職種によるシンポジウム」『CBニュース』 2012年06月19日 がん医療マネジメント研究会(高木安雄代表幹事)はこのほど、第10回シンポジウム「がん医療の潮流―これまでの10年と今後の展望―」を開催した。チーム医療などをテーマに、医師や薬剤師、看護師、医療ソーシャルワーカー、管理栄養士が、それぞれの立場から、この10年におけるがんの医療や患者支援の変化をはじめ、今後の課題などを話し合った。 (中略) 静岡県立静岡がんセンターで「よろず相談」に応じている福地智巴氏は、医療ソーシャルワーカーの立場から、相談支援の在り方ついて講演した。  福地氏は、がん診療連携拠点病院に設けられた「相談支援センター」の業務の中で、相談者に向けた情報の収集・提供の機能が強調され、相談員もそのことを強く意識していると感じている。  「最新の治療法を教えてほしい」といった相談があっても、患者の話を良く聞いてみると、「もう治療法がない」と言われて絶望していたり、必死で見つけた治療法が「エビデンスがない」と指摘され、医療に対して不満を募らせていることもある。  このような場面に求められるは、相談者の言葉通り、最新治療を説明したり、情報提供することではないだろう。福地氏は、緩和ケアについて伝えられるかどうかの判断も含め、相談者にとって、情報提供することが適切な時期なのか、適切な伝え方は何かといったアセスメントが必須になると言う。  その上で、情報提供は相談支援を前提に行うものであり、情報を提供するときには、情緒的なサポートが必要になると指摘。そして相談支援は、社会的な資源につなぐための「トリアージ」(識別)が目的ではないと言い、相談における「対話」そのものが支援だとした。また、そのような支援によって、患者や家族がより良い療養生活を送ろうと、自ら取り組んでいけるのではないかと訴えた。