東豊『セラピスト入門 システムズアプローチへの招待』日本評論社,1993

東豊『セラピスト入門 システムズアプローチへの招待』日本評論社,1993 著者は現在龍谷大学教授の職についておられるが、本書執筆当時九州大学医学部心療内科臨床心理研修室所属のセラピストだった様だ。同室には、現在長崎純心大学で教鞭をとっておられる児島達美氏が席を並べていたと知り興味深かった。(「あとがき」より) 2か月前に日本家族研究・家族療法学会に参加して以来、意識的に家族療法関係の本を読んでいる。これまでに読んだ入門書2冊は、入門とは言えない程、初心者には難解で、もう少し分りやすい本はないだろうかと探していたところ本書に出会った。 正直、目からウロコの本だった。家族療法の基礎概念についての説明もとても大まかで初心者にとってとっつきやすい。小説風に事例がたくさん掲載されており、実際に家族療法家がどの様にセラピーを行っているかイメージが出来たことが一番の収穫である。それと同時に、これらを実践するには、前提となる知識の習得と、スーパーバイザーのもとでしっかりと指導を受ける必要があると、安易な実践には危険性を感じた。まずは、福山和女先生のアドバイス通り、既に終結したケースを家族療法の視点から解釈し直してみることから始めるべきであろう。約20年前の本だが、まったく古いとは感じさせない一冊で、久しぶりに一気に読み上げることができた。 著者の本はかなりたくさん出ている。少しずつ読み重ねようと思う。それぞれの流派の本を読みながら自分の肌にあうアプローチを見つけたい。