福祉用具貸与に関する例外給付の条件

軽度者(要介護1以下)のがん末期患者の在宅支援において、介護保険で特殊寝台貸与を受ける場合、下記の通知を利用することが必須となる。時々、介護支援専門員から診断書作成の依頼を受けることもあるが、作成費用は自費となるため患者・家族に負担を強いることになる。確かに保険者に例外給付を申請する際、診断書があれば、保険者・介護支援専門員お互いが「手っ取り早い」のは理解できる。 しかし、他の手段があるにもかかわらず安易に患者・家族に費用を負担させることはやはり避けたい。そのため、主治医に主治医意見書「5.特記事項」に特殊寝台が必要となる旨を記載してもらったり、退院前カンファレンス(サービス担当者会議)で介護支援専門員から主治医に意見聴取してもらったりする。 この場合、前者であれば患者・家族に自己負担は発生しない。後者の場合は、カンファレンスの参加職種により300円~2,300円の負担が発生する(同月内に既に自己負担限度額までの医療費請求額を超えている場合は発生しない)が、カンファレンス自体の効果が期待される。 なお、一部の福祉用具業者は独自に軽度者に対して、介護保険貸与相当額(1,500-1,800円程度)で電動ベッド及び付属品を実費貸与してくれているため、上記取り扱いをせずに目的達成することもある。 医療ソーシャルワーカー・介護支援専門員双方で押さえておきたい内容だ。 但し、そもそも平成22年度介護給付費総額(6兆8,396億)に占める福祉用具貸与給付費(1,834億円)の割合は2.7%に過ぎない。大きな介護給付費抑制効果は見込めない給付項目であることは確かであろう。


厚生労働省老健局高齢者支援課長・振興課長・老人保健課長(老高発0316第1号・老振発0316第1号・老老発0316第5号)『「(平成12年3月1日老企第36号厚生省老人保健福祉局企画課長通知)指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス、居宅療養管理指導及び福祉用具貸与に係る部分)及び指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」等の一部改正について平成24年3月16日,pp.83-85より転載。 ⑵ 要介護一の者等に係る指定福祉用具貸与費 ① 算定の可否の判断基準 要介護一の者に係る指定福祉用具貸与費については、その状態像から見て使用が想定しにくい「車いす」、「車いす付属品」、「特殊寝台」、「特殊寝台付属品」、「床ずれ防止用具」、「体位変換器」、「認知症老人徘徊感知機器」、「移動用リフト(つり具の部分を除く。)」及び「自動排泄処理装置」(以下「対象外種目」という。)に対しては、原則として算定できない。また、「自動排泄処理装置(尿のみを自動的に吸引する機能のものを除く。)」については、要介護一の者に加え、要介護二及び要介護三の者に対しては、原則として算定できない。しかしながら九十五号告示第二十五号のイで定める状態像に該当する者については、軽度者(要介護一の者をいう。ただし、自動排泄処理装置については、要介護一、要介護二及び要介護三の者をいう。以下⑵において同じ。)であっても、その状態像に応じて利用が想定される対象外種目について指定福祉用具貸与費の算定が可能であり、その判断については、次のとおりとする。 ア原則として次の表の定めるところにより、「要介護認定等基準時間の推計の方法」(平成十一年厚生省告示第九十一号)別表第一の調査票のうち基本調査の直近の結果(以下単に「基別表第一の調査票のうち基本調査の直近の結果(以下単に「基本調査の結果」という。)を用い、その要否を判断するものとする。 イただし、アの㈡「日常生活範囲における移動の支援が特に必要と認められる者」及びオの㈢「生活環境において段差の必要と認められる者」及びオの㈢「生活環境において段差の解消が必要と認められる者」については、該当する基本調査結果がないため、主治の医師から得た情報及び福祉用具専門相談員のほか軽度者の状態像について適切な助言が可能な者が参加するサービス担当者会議等を通じた適切なケアマネジメントにより指定居宅介護支援事業者が判断することとなる。なお、この判断の見直しについては、居宅サービス計画に記載された必要な理由を見直す頻度(必要に応じて随時)で行うこととする。 ウまた、アにかかわらず、次の1)から3)までのいずれかに該当する旨が医師の医学的な所見に基づき判断され、かつ、サービス担当者会議等を通じた適切なケアマネジメントにより福祉用具貸与が特に必要である旨が判断されている場合にあっては、これらについて、市町村が書面等確実な方法により確認することにより、その要否を判断することができる。 この場合において、当該医師の医学的な所見については、主治医意見書による確認のほか、医師の診断書又は担当の介護支援専門員が聴取した居宅サービス計画に記載する医師の所見により確認する方法でも差し支えない。 1) 疾病その他の原因により、状態が変動しやすく、日によって又は時間帯によって、頻繁に九十五号告示第二十五号のイに該当する者 (例:パーキンソン病の治療薬によるON・OFF現象等) 2) 疾病その他の原因により、状態が急速に悪化し、短期間のうちに九十五号告示第二十五号のイに該当することが確実に見込まれる者 (例:がん末期の急速な状態悪化等) 3) 疾病その他の原因により、身体への重大な危険性又は症状の重篤化の回避等医学的判断から九十五号告示第二十五号のイに該当すると判断できる者 (例:ぜんそく発作等による呼吸不全、心疾患による心不全、嚥下障害による誤嚥性肺炎の回避)