日本福祉大学スーパービジョン研究会第1回研究セミナー
今日は名古屋国際会議場にて、日本福祉大学スーパービジョン研究会第1回研究セミナーに参加しました。代表は、平野隆之教授。参加者は110名。定員一杯で受付を締め切るほどの盛況。
テーマは、日本福祉大学が提起する「実践的スーパービジョン」でした。日本福祉大学スーパービジョン研究会とは、日本福祉大学に在籍する元・現ソーシャルワーカーの教員が中心となって取り組んでいる研究会。2012年5月に準備会議が開かれ、これまではクローズドで2か月に1回のペースで教員各自が自分の領域における研究と実践を紹介していたそうです。目指すは、「スーパーバイジーが結果としてアセスメントに集約される、認識枠組みの変更による実践力の向上を得る」こと。
研究会メンバーは、以下の通り(あいうえお順)。
青山聖久 教授(精神保健)
大谷京子 准教授(精神保健)
田中千枝子 教授(保健医療)
野尻紀恵 准教授(教育)
原田正樹 准教授(地域福祉)
平野隆之 教授(地域福祉)…代表
山口みほ 准教授(保健医療・精神保健)
来年度からスーパービジョンサロンの設置を検討中とのこと。スーパービジョンサロンの詳細は未定ですが、目的は、教育と実践の現場を介した研究としての協働。具体的には、曜日を決めて、夜日本福祉大学名古屋キャンパスで担当教員がミニ話題を用意。参加は自由。研究や学習のための機会と場の提供。考えをまとめ、展開する材料の企画・提示を行うとのこと。
背景として、認定社会福祉士の認定要件にスーパービジョンに関する単位が設定されたこともあるそうです。
認定社会福祉士認証・認定機構『認定社会福祉士制度 スーパービジョン実施要綱(要綱第2号)』2012年7月28日
http://www.jacsw.or.jp/ninteikikou/contents/01_kiko/files/09svJisshiyoko.pdf
ちなみに、大学が主催してスーパービジョンを提供する取り組みとしては、聖学院大学総合研究所の人間福祉スーパービジョンセンター(顧問:柏木昭 同大学名誉教授)があります。
http://www.seigakuin-univ.ac.jp/souken/spv/index.html
今回の1番の目的は、シンポジウム「福祉人材育成とスーパービジョン」のシンポジスト野田智子さん(江南厚生病院)の報告を聞くことでした。
テーマは、「地域で現場教育の質を確保するための取り組み」でした。具体的には、2010年7月に発足した尾張スーパービジョン研究会の準備から現在までの流れ、そして研究会にかける思いについて報告して下さいました。
【印象に残った言葉】
・現場実践を行う者が、現場実践を行う者にスーパービジョンを行う必要性はある。
・スーパービジョンに関する研修に参加しても、内容は理解できるが、現場の中でどこから手をつけてよいかわからない。
・スーパービジョン経験のあるソーシャルワーカーに研究会の協力について相談をした。具体的には、ソーシャルワーク・サポートセンター名古屋(代表:金城学院大学浅野正嗣教授)に依頼。
http://www.kinjo-u.ac.jp/m-asano/works.html
・メンバーが、将来的にスーパーバイザーの育成ができるようになる。
・バイジーのレベルの見立てで変わる到達目標。「初任者」「中級者」「上級者」。
【感想】
ご自身の経験をもとに、ご自身の言葉でこれまでの活動を報告頂き、頭に入ってきやすい素敵な内容でした。現場の人間だけではなく教員とうまく連携しながら、一方で教員もその場を研究にうまく活用しながら、お互いメリットのある形でバランスを保って実践されている点が興味深かったです。
私はスーパーバイジーの側ですが、将来に向けて大変勉強になりました。
三河地方にも同様の研究会が立ち上がる動きがあるそうですが、三河で働いているにもかかわらず知りませんでした。
【関連】
・山口みほ「ソーシャルワーカーを対象とした職場外個別スーパービジョンの意義―『ソーシャルワークサポートセンター名古屋』の実践をもとに―」『ソーシャルワーク研究』36(4),2011,pp.324-330
・山口みほ・浅野正嗣「職場外スーパービジョンの試み」『日本福祉大学社会福祉論集』119,2008,pp.159-192