新刊案内

西村周三(監修),国立社会保障・人口問題研究所(編集)『地域包括ケアシステム―「住み慣れた地域で老いる」社会をめざして (国立社会保障・人口問題研究所研究叢書)』慶應義塾大学出版会,2013.3.29 ○内容 医療・介護・福祉」一体型の地域づくりへ ▼人々が住み慣れた地域で、親しい人々に囲まれながら、充実した医療・ケアを享受できる社会、それが本書の提案する「地域包括ケアシステム」である。 ▼本書は、社会保障・税一体改革、多職種協働体制の確立と人材育成、中央地方・官民の連携のあり方など重要課題を考察し、高齢社会・日本の新たな姿を描く。 ▼医療・介護・福祉従事者はもちろん、政府・地方自治体担当者にも必読の書。 ○目次 はしがき 序章 地域包括ケア――国際的視角から 西村 周三 1 地域包括ケアとAgeing in Place 2 Ageing in Place研究の動向 第1部 日本の人口動態と社会保障への影響 第1章 人口構造と世帯構成の変化 鈴木 透 1 はじめに 2 人口高齢化とその都道府県格差 3 市区町村別将来人口推計からみた高齢化 4 高齢者の居住状態の地域構造 第2章 医療・介護サービスへの影響 西村 周三 1 はじめに 2 地域ごとの人口構造、世帯構造の変化 3 地域包括ケアを踏まえた今後の医療・介護 4 地域機能の維持――人材確保と財源 第3章 社会保障財政および個人負担への影響 金子 能宏 1 はじめに 2 社会保障の給付と負担――日本と先進諸国の動向 3 医療保険介護保険の給付と負担の推移 4 少子高齢化社会保障財政に及ぼす影響 ――世代別にみた給付と負担への影響 5 社会保険料・租税負担の公平性――負担の現状と逆進性緩和の方策 6 まとめと今後の課題 【第2部】 社会保障・税一体改革と地域包括ケア 第4章 医療・介護制度の展開と社会保障・税一体改革 岩渕 豊 1 医療・介護制度の展開と社会保障財政 2 社会保障・税一体改革 3 2012年度診療報酬・介護報酬同時改定 4 今後の展開と課題 第5章 地域包括ケアにおける自助、互助、共助、公助の関係 高橋 紘士 1 共助と公助――介護保険法と老人福祉法 2 介護保険の制度原理 3 自助、互助、共助、公助のパラダイムの意義 4 低所得者から生活困難層へ――自助と互助の喪失への対応 5 生活困難層への支援モデル確立へ 第6章 地域包括ケアの前提となる住宅確保にかかる政策的課題 白川 泰之 1 はじめに 2 住宅確保にかかる政策の限界 3 政策展開の方向性 4 住宅手当をめぐる論点 5 むすび 【第3部】 各サービス供給の現状と諸課題 第7章 在宅医療の現状・理念・課題 島崎 謙治 1 はじめに 2 在宅医療の現状 3 在宅医療の理念 4 在宅医療の問題 5 おわりに 第8章 介護予防とリハビリテーションの現状と課題 備酒 伸彦 1 はじめに 2 高齢者の障害概念の変遷(時代とともに変わるケア) 3 生活期にある高齢者の機能および機能低下の特徴 4 介護予防の観点からみた現在のケアサービスの問題点 5 おわりに 第9章 サービス付き高齢者向け住宅と生活支援サービス 三浦 研・落合 明美 1 はじめに 2 高齢者向け住まいの整備状況 3 サービス付き高齢者向け住宅における生活支援サービス 4 高齢者が多数集住する団地や地域の課題 第10章 退院支援/退院時ケアマネジメントの現状・課題と改善策 ――要介護高齢者の退院後のADL向上の観点から 川越 雅弘 1 はじめに 2 退院支援/退院時ケアマネジメントとは――用語の操作的定義 3 退院支援/退院時ケアマネジメントの現状と課題 ―退院事例調査から 4 訪問リハの新規導入要因分析 ――リハの継続性を確保するための介入ポイントとは 5 多職種協働ケアマネジメントの効果評価 6 退院支援/退院時ケアマネジメントの質向上に向けて 7 おわりに 【第4部】 財源/利用者負担からみた持続可能性 第11章 2025年の医療・介護費用試算と高齢者世帯の家計 山本 克也 1 はじめに 2 医療・介護費用の試算 3 医療・介護費用が高齢者家計に与える影響 4 おわりに 第12章 都道府県別推計年金可処分所得からみた医療・介護の負担能力 山本 克也 1 はじめに 2 年金試算の先行研究 3 都道府県別医療・介護費用、年金受給額の試算 4 試算の結果と評価 5 おわりに 【第5部】 地域包括ケアの先行事例 第13章 民間・行政のコラボレーションによる地域包括ケア ――住まいと連続的ケアの連携事例 小山 剛 1 地域に対する取り組みと気づき 2 地域包括ケア、サポートセンターへの道 3 民間・行政のコラボレーション 第14章 長寿社会のまちづくりプロジェクト ――千葉県柏市豊四季台地域の事例 松本 直樹 1 柏市豊四季台地域高齢社会総合研究会発足の背景 2 在宅医療の推進 3 高齢者の住まいと医療・介護サービスの組み合わせ 4 高齢者の生きがい就労の創設 5 おわりに 第15章 高齢化の課題解決プロセスと日常生活圏域ニーズ調査 ――大分県臼杵市の事例 西岡 隆 1 はじめに 2 臼杵市の高齢化の現状と今後の見通し 3 高齢者が抱える課題の抽出と地域のつながりを重視した取り組み事例 4 持続可能な地域づくりと豊かな老後生活 終章 地域包括ケアの将来展望 金子 能宏・川越 雅弘・西村 周三 1 はじめに 2 財源の確保 3 地域包括ケア提供体制構築上の課題とは 4 高齢者は変われるか? ――参加型地域包括ケアシステムに向けて 索引 ○コメント これはなかなか手堅い1冊になりそうです。第10章 退院支援/退院時ケアマネジメントの現状・課題と改善策には目を通しておかねば。 副田義也編『シリーズ福祉社会学2 闘争性の福祉社会学: ドラマトゥルギーとして』東京大学出版会,2013.3.22 ○内容 闘争の理論は社会学の主戦場のひとつである.貧困問題とそれへの抗議,当事者運動,認知症ケア,ターミナルケアなどにおける葛藤,東アジア社会における不平等とそれへの対抗など,さまざまな論争的テーマをとりあげる.博愛と受容の社会福祉論は,闘争と主張の福祉社会学へとその姿を変える. ○目次 I 闘争と葛藤の福祉社会学 1章 社会の闘争モデルによる福祉社会学・序説(副田義也) 2章 「当事者」研究から「当事者研究」へ(上野千鶴子) 3章 市民社会グローバル化――同型化と多様性のせめぎあい(須田木綿子) II 貧困と公的扶助における闘争 4章 生活保護しかなかった――貧困の社会問題化と生活保護をめぐる葛藤(岩永理恵) 5章 公的扶助訴訟の社会史――朝日訴訟と資源動員(菊地英明) 6章 ケースワーカーとクライエントの葛藤関係(副田あけみ) III 運動とケアにおける葛藤 7章 障害者運動における親と子の葛藤について(杉野昭博) 8章 映像の中に見る認知症の人の「思い」――ぼけ・痴呆・認知症をめぐるケア実践の社会学(井口高志) 9章 緩和ケア病棟で働くということ(株本千鶴) IV 東アジア諸国の福祉と闘争 10章 中国における都市部と農村部の福祉格差(鍾家新) 11章 北朝鮮国民の生活実態――その動向と韓国との比較(申榮全) 12章 変化する社会の不平等――闘争から協調、そして葛藤へ(白波瀬佐和子) ○コメント Ⅱ部が気になります。