社会福祉士の賃金

日本家族研究・家族療法学会で、福祉職の賃金が他の職種と比べて統計上最下位になったという発言があった。何の調査をもとにしたのかと気になっていたので、調べた。 用いた統計資料は、以下の2つ。 ・厚生労働省平成24年賃金構造基本統計調査』(以下、厚労省調査とする) http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/NewList.do?tid=000001011429社会福祉振興・試験センター平成24年社会福祉士介護福祉士就労状況調査』(以下、センター調査とする) http://www.sssc.or.jp/touroku/results/page3.html#sec06 厚労省調査には、福祉職に該当するものとして「保育士(保母・保父) 」「介護支援専門員(ケアマネージャー)」「ホームヘルパー」「福祉施設介護員」が掲載されていた。しかし、残念ながら社会福祉士は掲載されていない。 そのため、センター調査の結果を参照しながら医療関係職種と年収を比較することとした。 なお、年収といっても、雇用形態や性別・年齢・役職・従事年数などによって異なるが、両調査で比較したのは、厚労省調査の常用労働者のうち「一般労働者」とセンター調査の「正規職員」とした。男女計は比較するデータがなかったため、男女別で記載する。 厚労省調査については、年収の計算方法として、「企業規模計(10人以上)」欄の「決まって支給する現金給付額」に12を乗じ「年間賞与その他特別給与額」を足した額とした。 ちなみに「決まって支給する現金給付額」とは、基本給に各種手当及び残業代が含まれた額を意味している。 社会福祉士の回答数は、男n=8,668 女n=10,782である。 社会福祉士 男(不明)   438万  女(不明) 335万 医師    男(42.6) 1,213.1万  女(37.6) 956.9万 薬剤師   男(37.4) 569.6万   女(39.9) 509.0万 診療放射線・診療エックス線技師 男(38.1)533.4万 女(33.6)451.0万 臨床検査技師 男(37.1)498.7万 女(37.0)437.4万 看護師   男(34.6) 487.6万   女(37.6) 469.7万 理学療法士作業療法士 男(32.0)413.8万 女(30.5) 378.2万 保育士(保母・保父) 男(30.0)326.7万 女(35.3)314.4万 介護支援専門員   男(39.6)409.8万 女(48.0)354.7万 ホームヘルパー 男(37.0)294.8万 女(46.4)274.5万 福祉施設介護員 男(35.6)328.1万 女(39.7)300.3万 注:(  )は、平均年齢をさす。 調査実施主体なども異なるため、厳密な比較はできないがおおよその動向としてはつかめるかもしれない。本比較に限っていえば、社会福祉士の年収は他の医療関係職種と比べて男性では最下位ではなく、女性では最下位だった。但し、社会福祉士の平均年齢が不明だが、医師を除けば職種の違いというよりも平均年齢の違いで年収が異なる印象を受けた。