「特養入所 軽度者も条件付き容認 介護保険、厳格化批判で転換」『東京新聞』2013年10月27日

特養への入所要件の厳格化の背景には、「介護度の重い高齢者が特養に入所したくてもなかなか入れないのに、一方で介護度が低い高齢者が特養に入所している」といった批判を受けてか。しかし、特養側も「全入所者が要介護5」といった入所者構成にすれば現場が回らないので、ある程度軽度者もいないといった判断はあろう。近隣の特養では見学する限り「軽度者が多い」という印象は持たないが、東京及び周辺都市や大阪などでは事情が違うのだろうか。軽度者は在宅(在宅系施設含め)で看て欲しいという政策的動機もあろう。 今回の条件設定の内容自体は、常識的なものだ。 どこにどんな施設があるのかわからず、すがる思いでようやく見つけた特養に相談に行かれた家族が、「ウチは要介護3以上にならないと入れませんよ。待機者がいっぱいいますからね。」と入所受付担当者から言われて、困り果てたという話を面接場面で聞くと、大変な思いをされたんだな、とつくづく思う。直ぐに入所できないことは仕方ないとして、できれば生活相談員から代替案をそこで提示してもらえれば、家族は多少なりとも救われるであろう。
「特養入所 軽度者も条件付き容認 介護保険、厳格化批判で転換」『東京新聞』2013年10月27日 厚生労働省特別養護老人ホーム(特養)の入所者を介護保険の中重度者に限る方針を見直し、条件を満たせば軽度者の入所を認める案をまとめた。三十日に開かれる社会保障審議会(厚労相の諮問機関)介護保険部会で案を示す。  特養は介護が必要と認定された六十五歳以上が入る施設。介護サービスにかかる費用の九割は公費と保険料で賄われ、本人負担は一割に抑えられている。  政府は社会保障制度見直しの手順をまとめたプログラム法案に特養の待機者対策として入所基準の厳格化を盛り込んだ。厚労省は具体案として、軽度の要介護1、2の人を対象から外し、介護の必要度が高い要介護3~5の人だけに入所を認める案を示していた。  ただ、軽度でも、体が元気な認知症患者なら夜中に出歩くなど家族の負担が重くなるケースもあり得るため、介護関係者からは「入所基準を一律に限定するのは問題だ」と批判が出ていた。  例外として想定されているのは、常時の見守りが必要な認知症患者のほか、周りに支える人がいなかったり、自宅で家族などから虐待を受けたりする可能性がある高齢者。特養の職員らでつくる検討委員会が入所の可否を最終判断する。詳しい基準は今後検討する。  また、特養への入所後に心身の症状が改善して軽度になっても、特養以外での生活が非常に難しい場合と判断されれば、入所の継続を認める方針も部会に示す。