研修報告:家族カウンセリングが示唆すること(主催:日本家族カウンセリング協会)

参加者は70名程度。年齢層は40-60代。職種は、スクールカウンセラー産業カウンセラー臨床心理士が中心でした。講師は、総合的心理療法研修所所長平木典子氏。 【印象に残った言葉】 ・McGoldrickほかが"The Expanded Family Life Cycle"第4版を2010年に発刊。第3版が1998年のため12年振りに大幅に改訂された。ポイントとして、(1)スピリチュアルな自己、(2)コミュニティとの関係、(3)孫と祖父母の関係が追加されている。詳細は、以下の通り。 (1)スピリチュアルは宗教ということではなく、「意味、世界観、ミッション意識」と定義されている。身体と心理だけでなくスピリチュアルな部分も問題を査定する場合には取り扱わなければ表面的な理解に終わってしまう。 (2)これまで家族のライフサイクルについて検討する場合、家族システム内部についての議論が中心であったが、家族システムとコミュニティと社会システムとの関係も視野に入れて発達課題を検討する必要性が提起されている。 (3)3世代のシステムは、家族療法の中でも多世代派の考え方ではあるが、これまで孫と祖父母の関係性について明確に言及することはなかった。 ・アタッチメント理論は、理論が導入された当初用事への親密な接し方が重要視され母親の役割の重要性が指摘されていた。しかし、最近の脳科学では成人してからも発達することが分かってきている。脳科学の知見が今後心理学にフィードバックされてくるであろう。 ・ワーク・ライフ・バランスとするとワークとライフが対立する構造となってしまう。ワークとライフは対立するものではなく連続するものである。キャリアカウンセリングを行う際、バランスについて助言するのではなく両者を繋ぐために助言をしてもらいたい。 ・カウンセリングの発祥は米国で職業相談所の職員が提起した。キャリアカウンセリングというと職場との関係を相談すると思われるかも知れない。日本は狭く捉えてしまっている。本来は、人生の各段階で果たすライフ・ロール(子供、学生、余暇人、市民、労働者、家庭人、その他のさまざまな役割)の組み合わせでありその視点からのカウンセリングであるべき。 【業務に置き換えて考えたこと】 ・今年から家族療法について本格的に学び始め、McGoldrickの家族ライフサイクル論を知ったところであった。それが更に改訂されていることを知り、更に視点が広がった。家族面接を行う際に、目の前の論点にも手当を行いつつ、家族各人のライフロールや家族のライフサイクルの発達段階を査定することの重要性を学びました。