「C型慢性肝炎 副作用少ない薬、実用化」『中日新聞』2013年12月17日

重要な薬が今月承認されたようですね。 ○追記(2013.12.21現在) 12月初旬に都道府県の助成担当者対象に国から説明会を開催。 各都道府県で助成の要綱改訂作業。 愛知県では、1月上旬から中旬頃に、シメプレビルが対象となった旨を指定医療機関に通知予定。 現時点でも申請自体は可能だが、審査会で個別に審議するため非該当となる可能性があることも了解しておくこと。 関連記事
「C型慢性肝炎 副作用少ない薬、実用化」『中日新聞』2013年12月17日 http://iryou.chunichi.co.jp/article/detail/20131218150024410 効果高く、治療期間短く  肝臓がんを引き起こすC型慢性肝炎の治療には、高い頻度で副作用が伴う。治りにくい患者向けに、副作用を比較的抑えながら、治療期間を短くする治療法が実用化された。治療に伴う苦痛の軽減が期待される。(佐橋大)  C型肝炎の治療は、ウイルスの増殖を抑える薬、インターフェロン(IFN)や、改良型のペグインターフェロンを一定期間、定期的に注射し、ウイルスを排除するのが基本。これらの薬は効果の半面、発熱やだるさ、食欲不振などの副作用が頻発する。  ウイルスには、IFNが効きやすい遺伝子型2型(2a型と2b型)と、効きにくく、国内患者の7割を占める1型(ほぼ1b型)がある。1型の人では、飲む抗ウイルス薬リバビリンを併用する治療が一般的で、治療期間は1年以上になることもあった。副作用のため、治療の長期化は患者には苦痛という。  一昨年には1型患者向けに、ペグインターフェロンリバビリンに、抗ウイルス薬「テラプレビル」を併用する治療法が実用化された。ウイルスが増えるときに働く酵素プロテアーゼの働きを妨げる薬で、1日3回服用する。1型の標準的な治療期間が48週から24週に短くなり、効く割合が5割から7割に上がった。  一方で、テラプレビルの持つ貧血や皮膚炎などの副作用が加わった。関西労災病院兵庫県尼崎市)病院長の林紀夫さんは「C型肝炎の患者は高齢化している。高齢者は副作用が出やすく、使いにくかった」と話す。  9月には、テラプレビルと同様にウイルスの増殖を抑えるが、副作用が少ない第2世代のプロテアーゼ阻害剤「シメプレビル」の製造販売が、国に承認され、今月6日に発売された。  ペグインターフェロンリバビリンを24週投与し、シメプレビルは前半の12週で併用する。1日1回の服用。臨床試験では、1型で初回治療の患者の8〜9割で、この治療法が有効だった。副作用は、ペグインターフェロンリバビリンの2剤を使う場合と同程度だった。  11月に日本肝臓学会が改訂したC型肝炎治療ガイドラインは、初めて治療を受ける難治性の1型の患者では原則、シメプレビルの併用療法で積極的に治療することを勧める。65歳以下で、肝臓の線維化が軽度の人は、より副作用が少ないと予測される治療法が実用化されるまで、「待機も可能」とした。  「より副作用が少ないと予想される治療法」は、IFNを使わず、複数の抗ウイルス薬を飲む治療法。4種類が臨床試験中。林さんによると、来年後半にもそのうち1つが実用化され、残りも順次承認される見込み。  患者の期待は高いが、治療中にウイルスの変異で薬への耐性ができ、その後の治療の選択肢まで狭める可能性があると、林さんは期待感の高まりを制する。「ウイルスに特定の遺伝子変異があると、薬の効く確率が低くなることが分かっている。ウイルスに薬の効果を下げるような遺伝子変異がないか調べてから、治療を受けるのが望ましい」と話す。 肝がんの予防に期待  C型肝炎ウイルスは血液を介して感染し、約7割が慢性化する。持続感染者は150万〜200万人と推定されている。  多くは医療現場の感染対策が強化された1990年代初めより前に、輸血などで感染したと考えられる。しかし、輸血などの心当たりのない患者も多いという。自覚症状がなく、見つかったときにはかなり進行している場合も多い。  NPO法人「東京肝臓友の会」事務局長の米沢敦子さんは、「肝炎検査を積極的に受けて」と呼び掛ける。  ウイルスが肝細胞を破壊し、肝硬変、肝がんに移行する。肝がんの8割がC型肝炎由来。C型肝炎の治療が肝がんの予防になると考えられている。国の医療費助成で、患者は月1万〜2万円の負担で高額なIFN治療を受けられる。