新刊案内
いよいよ同い年の学者による著書を手に取ることになるとは…。
平山亮『迫りくる「息子介護」の時代 28人の現場から』光文社,2014.2.18
○著者略歴
1979年神奈川県生まれ。東京大学文学部、同大学大学院人文社会研究科修士課程を経て、オレゴン州立大学大学院博士課程修了。専門は社会老年学、社会心理学。東京都健康長寿医療センター研究所にて長寿科学振興財団リサーチレジデント(認知症対策総合研究推進事業)を務めたあと、現在、同研究所で日本学術振興会特別研究員として研究中。主要論文はJournal of Gerontology: Social Sciences、Journal of Family Theory & Review等に掲載。本書が日本語で初めての単著となる。
○内容
◆介護なんてオレには「他人事」
……そう思っていませんか! ?
気鋭の社会心理学者が
介護からあぶり出す「男という困難」
【上野千鶴子氏推薦&解説! 】
◆「息子介護」とは、嫁でも娘でも妻でも夫でもなく、
息子が親の介護をすること。
まだ耳慣れない言葉だが、息子介護者は着々と増えている。
少子化できょうだいの数が減り、非婚化で生涯配偶者をもたない人が増え、
たとえ妻がいても、妻は自分の親の介護で手いっぱい――。
やがて親類や会社、家の近所を見渡せば、
あの男性もこの男性も「息子介護」をしている、という日が必ず来るのである。
著者は1979年生まれの社会心理学者。
28人の息子介護者からの聞き取りをもとに、
彼らがどんな思いを抱きながら、周囲の人々と関わり、家事や介護をこなし、
仕事との両立や折り合いをつけたりつけなかったりしているかを、丁寧に描き出す。
「息子が介護」という異常事態!? を機に表出する男社会の息苦しさの「あるある」を浮き彫りにする、
もうひとつの「男性学」になっている。
解説・上野千鶴子。
○目次
はじめに
【注意! 介護・福祉の現場の方、研究者の方へ】
第1章 息子介護の「いま」
――統計から見える傾向と、それだけではわからない経験
第2章 親の介護と、「妻」との関係
――嫁のいる息子が介護者になるとき
(1)「夫が看れば、妻は楽」――とは限らない
(2)介護する息子と、その「夫婦のカタチ」
第3章 「きょうだいではなく、なぜ自分が……」
――介護責任をめぐる論理と応酬
(1) 男きょうだい:息子介護者にならなかった息子たち
(2) 女きょうだい:嫁いだ姉妹との関わり方
(3) 「用意周到」な息子はまれである
第4章 「息子の看方」とその見方
――オトコであることの困難と希望
(1)オトコの家事の、オトコの見方
(2)母を介護する男ゴコロ
(3)父への期待、母への期待
(4)「ミニマムケア」のメリット・デメリット
(5)息子介護者として「仕事を続ける」ことの意味
第5章 家族外のネットワーク
――家の外で息子が「介護者をする」こと
(1) 息子介護者と「職場の人びと」
(2) 親の介護と友人関係
(3) 地域のネットワーク
おわりに