書籍案内

3月22日に開かれた金城学院大学医療ソーシャルワーク研究会にて、福山和女先生が紹介された書籍。


デボラ・R.バーンバウム(柴田正良ほか訳)『自閉症倫理学: 彼らの中で、彼らとは違って』勁草書房,2013.10.17

○内容
自閉症者は他者の「心」を理解する能力(=「心の理論」)が欠損しているとされる。他者とのコミュニケーションだけでなく自己理解にまで深刻な影響が及ぶだけに、自閉症者は非自閉症者と異なる世界を生きているとも言える。従来の倫理理論では捉えきれない自閉症者の存在を見つめ、彼らをどう理解しどう扱うべきかを原理的に考察する。

○目次

第1章 自閉症の哲学入門(自閉症に関する心の理論説、ならびにそれと競合する諸仮説
人間の行動を説明する二つの仮説に対する自閉症からの試練―理論説とシミュレーション説 ほか)
第2章 自閉症的人生の価値(道徳共同体のメンバーに関するウォレンの立場
人間の能力に関するヌスバウムの立場 ほか)
第3章 自閉症と道徳理論(ケネット―ヒューム説に対する反駁
ケネットによるカント説の慎重な受容と、ベンによる拒否 ほか)
第4章 自閉症と遺伝学的技術(親の自律性と、遺伝学的技術の使用に対する反論の失敗
障害に関する社会構成論 ほか)
第5章 自閉症者に対する研究(カントの議論、功利主義の議論、そして原則主義と自閉症
自閉症と研究への同意能力 ほか)