「刑務所に社会福祉士常駐、法務省方針 受刑者の高齢化で 」『日本経済新聞』2014/3/27

今年度最後の大きな記事かもしれません。


「刑務所に社会福祉士常駐、法務省方針 受刑者の高齢化で 」『日本経済新聞』2014/3/27

法務省は高齢者や障害を持つ受刑者の円滑な社会復帰を支援するため、全国の刑務所に社会福祉士精神保健福祉士を常駐させる方針を固めた。2014年度中に計12カ所の刑務所などで常勤職員として採用するほか、今後10年以内に全国計77カ所の施設での配置を目指す。自立困難な受刑者の支援体制を強化し、再犯防止につなげる。
 14年度中に社会福祉士などを配置するのは、札幌、宮城、府中、名古屋、大阪、広島、高松、福岡の各刑務所と、計4カ所の医療刑務所。高齢や知的障害などを理由に自立した生活が困難な受刑者を対象に、出所前から生活態度などを指導する。出所後の生活を支援する福祉施設医療機関の仲介や、障害者手帳の申請なども手掛ける。
 13年度の犯罪白書によると、受刑者数は07年以降、毎年減少しているが、65歳以上の高齢者の新規受刑者は過去20年間で5.6倍まで急増。軽度の知的障害などを持つ受刑者も新規受刑者の約1割を占めるとされ、自力での社会復帰が困難な受刑者の自立支援が課題となっている。
 ただ、現状では刑務所に配置している社会福祉士はすべて非常勤採用で、常駐職員はいない。出所前の生活指導などに限界もあることから出所後に福祉支援が受けられないことも少なくなく、社会復帰が妨げられ結果として再び犯罪を起こす高齢者もいる。
 法務省は「今後も認知症などを発症した高齢受刑者や、知的・精神障害を抱えた受刑者が増加することが予想される」(矯正局)とみる。出所後の適切な受け入れ先の確保が再犯防止に有効と判断し、刑務所などの刑事施設で社会福祉士精神保健福祉士の常勤体制の確立を急ぐ。