「特別養護老人ホームの「特例入所」に係る国の指針(骨子案)について」『全国介護保険担当課長会議資料』2014年7月28日

『全国介護保険担当課長会議資料』2014年7月28日
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000052337.html

特別養護老人ホームの「特例入所」に係る国の指針(骨子案)について」
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000052324.pdf

1.考え方
医療介護総合確保推進法案の成立を受け、平成27年4月1日以降、指定介護老人福祉施設(指定地域密着型介護老人福祉施設を含む。以下同じ。)については、限られた資源の中で、より入所の必要性の高い方々が入所しやすくなるよう、居宅での生活が困難な中重度の要介護高齢者を支える施設としての機能に重点化を図ることとなる。このため、新たに入所する方について、原則要介護3以上に限定することとなるが、要介護1又は2の方であっても、やむを得ない事情により指定介護老人福祉施設以外での生活が著しく困難であると認められる場合には、市町村の適切な関与の下、施設ごとに設置している入所検討委員会を経て、特例的に指定介護老人福祉施設への入所を認める(以下「特例入所」という。)こととする。
この特例入所の判断に当たっては、透明かつ公平な運用を図る観点から、厚生労働省において特例入所の判断に当たっての具体的な要件や判定手続きについての指針を作成することとしており、その内容の骨子案は以下のとおり。
2.特例入所に係る指針(骨子案)
(1)特例入所の判断に当たっての具体的な要件
〔考え方〕
○ 特例入所の判断主体は、現行の入所判定の取扱同様、各施設であること等を踏まえ、入所判定の公正性を確保するため、各市町村や各施設で判断基準に大きな差異が出ないよう、厚生労働省において特例入所の判断に当たっての要件に係る勘案事項を明確に示すこととする。
〔要件(勘案事項)の案〕
認知症であることにより、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られ、在宅生活が困難な状態であるか否か。
○ 知的障害・精神障害等を伴い、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さ等が頻繁に見られ、在宅生活が困難な状態であるか否か。
○ 家族等による深刻な虐待が疑われる等により、心身の安全・安心の確保が困難な状態であるか否か。

○ 単身世帯である、同居家族が高齢又は病弱である等により、家族等による支援が期待できず、かつ、地域での介護サービスや生活支援の供給が十分に認められないことにより、在宅生活が困難な状態であるか否か。

(2)施設が特例入所を決定する際の手続き
〔考え方〕
○ 特例入所の判断の主体は、現行の入所判定の取扱同様施設とし、入所申込者の状況等を十分に勘案した上で、各施設が特例入所の判断を行うこととする。
○ 一方、特例入所の判断に当たっては、入所判定の公正性を確保するとともに、地域の在宅サービス等の提供体制の状況などを踏まえる必要があることから、その判定手続きにおいては、市町村の適切な関与が必要。
※ 要介護3以上の方の入所判断については、現行の優先入所指針による従来の判定手続きの取扱を変更するものではなく、市町村の関与までを求めるものではない。
○ 市町村の関与の具体的な方法については、市町村の事務負担にも配慮しつつ、施設の特例入所の判断に地域の状況を的確に反映できる仕組みとする。
〔手続きの案〕
➀ 要介護1又は2の方が指定介護老人福祉施設への入所を申込むに当たっては、特例入所の要件に該当し、指定介護老人福祉施設以外での生活が著しく困難な理由を入所申込書に付記の上、申込むものとする。
② 施設は、要介護1又は2の方からの入所申込みがあった場合には、入所検討委員会を開催する前に、市町村にその状況を報告するものとする。
③ 施設は、要介護1又は2の方からの入所申込みについて、入所検討委員会で特例入所の対象者として検討するに当たっては、市町村(住所地特例の対象となる者である場合は施設所在市町村以外の保険者である市町村を含む)に意見を求めることができることとする。
④ 市町村は、地域の居宅サービス等の提供体制の状況や、担当の介護支援専門員等からの居宅等における生活の困難度の聴取等も踏まえ、施設の特例入所判断の妥当性等について、施設側から意見を求められない場合も含め、施設に対して意見を表明することができることとする。
⑤ 施設は、市町村からの意見があった場合は当該意見の内容も踏まえ、入所検討委員会において特例入所の必要性を判断する。
〔市町村の関与の方法の案〕
○ 施設の求めに応じ、又は、自らの判断で市町村が意見を表明するに当たっては、その具体的な方法は、市町村の裁量で適宜の方法で行われるものであるが、例えば以下のような方法を選択することが想定される。
・ 市町村が施設に対し、意見書を作成すること等により意見を表明する。
・ 市町村職員が施設の入所検討委員会に出席して意見を表明する。 等

3.指針の作成
○ 「特例入所に係る指針」の策定手法のイメージは以下のとおり。
① 国は、「指定介護老人福祉施設の入所に関する指針について」(平成14年8月7日付け老健局計画課長通知)を改正し、特例入所の判断基準(要件)や市町村の関与の手法を含む入所判定手続きについて定める。
自治体は、①の内容を踏まえ、各自治体が関係団体と協議し、共同で作成している現行の優先入所指針を改正する。この際、円滑な運用を図る観点から、関係自治体と関係団体が協議し、共同で作成することが適当であることは、現行の取扱いと同じである。
○ なお、国の通知改正を受け、各自治体において優先入所指針を改正した後も、当該指針を踏まえて施設の入所検討委員会において入所判定の判断を行うに当たっては、特例入所の対象者も含めた入所申込者について、これまでと同様、「介護の必要の程度」及び「家族の状況」等の勘案すべき事項に照らし、指定介護福祉施設サービス又は指定地域密着型介護老人福祉施設入居者生活介護を受ける必要性が高いと認められる入所申込者を優先的に入所させるよう、入所の必要性を個別具体的に総合的に判断すべきであることに留意されたい。