退院調整部門に配属されているMSWの数の調べ方

全国の病院において、退院調整部門(関係職種によって退院支援計画の作成、退院先の検討、退院後の必要なサービスの紹介等を行う部門)を設置しているところは、病院施設静態調査によると、平成20年時点で2,450/8,794施設(27.9%)4,360人(実人数)、平成23年現在で3,168/8,605施設(36.8%)7,308名(実人数)である(※)。
平成23年の全病院数8,605施設以外のデータは、東日本大震災の影響により宮城県石巻医療圏、気仙沼医療圏及び福島県全域については計上されていない。

平成26年の病院施設静態調査でも、同項目は調査予定であるため、来年以降直近のデータが明らかになるであろう。なお、このデータでは全病院における退院調整部門の設置率及び従事者数(実人数)は分かるが、従事者のうちMSWがどれだけ配属されているかは分からない。

平成22年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査(平成22年度調査)救急医療等の充実・強化のための見直しの影響調査報告書』では、全国の救急病院 1,274 施設を対象として157施設(回収率12.3%)から退院調整部門の設置状況について回答を得ている。それによると、退院調整部門の設置状況は、「設置している」84.8%、「設置していない」11.1%であった。なお、同調査では平成22年10 月現在1施設につきMSW(実人数)は、専従2.4人、専任0.6人が配置されているという結果であった。また、 同看護師(実人数)は、専従1.2人 専任0.6人であった。ただし、回収率が低いためこの調査だけでは全体の動向は分からない。

以上のことから、これまで全国の病院の退院調整部門におけるMSWの数は分からなかった。しかし、ここにきて状況に変化が生じてきている。10月1日から始まった病床機能報告制度である。

病院機能報告制度とは、毎年1回、全国の医療機関が自院の機能について都道府県知事(実際は、全国共通サーバー)に対して報告する制度だ。報告様式に、病院施設票「8.退院調整部門の設置状況」という設問があり、下位項目として「①退院調整部門の有無」、「②退院調整部門に勤務する職員数(医師、看護職員、MSW(再掲社会福祉士有資格者)、事務員、その他)」が置かれている。

他にも報告様式の病棟票には、「7.入棟前の場所・退棟先の場所別の入院患者数の状況」や、「8.退院後に在宅医療を必要とする患者の状況」という設問がある。

この制度により、全国の退院調整部門に配属されているMSWの数が把握できるようになる。但し、病床機能報告制度の活用の主体は第一に都道府県にあり、「『患者・住民への公表方法』は今後の検討課題」(m3.com)となっているため、我々が当該の情報を活用できるかどうかは現時点では未定である。なお、活用方法については、「地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」で議論されるため、同検討会の動向に注目したい。