新刊案内
マイケル・ホワイトほか(野口 裕二ほか訳)『ナラティヴ・セラピー──社会構成主義の実践』遠見書房,2014.12.15
○内容
ナラティヴ・セラピーの登場以降,心理療法のあり方は,根底から変わった。セラピストとクライエントの関係性に注意が向けられるようになり,クライエントとコラボレイトしてゴールを目指すという姿勢も当たり前のものになった。「客観的現実」よりも「人々の間で構成される現実」がリアリティを持つようになった。
その出発点となったのがこの本である。
ホワイト,グーリシャン,アンダーソン,アンデルセン……新しい心理療法の時代をつくり,根づかせた臨床家たちの試みは,家族療法の分野で始まった。90年代に入ると,この変化の全体を見渡せる視点やその思想的背景が見えるようになってきた。それが社会構成主義(ソーシャル・コンストラクショニズム)であり,ナラティヴという視点であった。
多くの待望の声がありながら版が止まっていたものを,今回一部訳文の再検討をし,復刊。本書は,刊行から20年近くをすぎても今なお色あせない,一番新しい心理療法の原典である。
○目次
○目次
序章
シーラ・マクナミー,ケネス・J・ガーゲン
第一章 家族療法のための再帰的視点
リン・ホフマン
第二章 クライエントこそ専門家である――セラピーにおける無知のアプローチ
ハーレーン・アンダーソン,ハロルド・グーリシャン
第三章 「リフレクティング手法」をふりかえって
トム・アンデルセン
第四章 治療を拡げる新しい可能性
ギアンフランコ・チキン
第五章 書きかえ療法――人生というストーリーの再著述
デービッド・エプストン,マイケル・ホワイト
第六章 ナラティヴ・モデルを越えて
ケネス・J・ガーゲン,ジョン・ケイ
○コメント
1998年に発売された『ナラティヴ・セラピー―社会構成主義の実践』の復刊。
ポーリン・ボス(中島 聡美ほか訳)『あいまいな喪失とトラウマからの回復:家族とコミュニティのレジリエンス』誠信書房,2015.1.30
○内容
震災や事故で愛する人が行方不明になってしまった時、私たちは自分のこころの持って行き場を失う。その人の影は心の中に残り続け、それを追っても見つけることは既にできない。また、家族が認知症となり、愛する人が目の前にいるのに、その人の目に自分が他人として写っているのを知った時、私たちはその人を失ったような感覚に陥る。本書は、あいまいな喪失の治療と援助に携わる専門家に向けて書かれた包括的なガイドである。
はじめに――喪失とあいまいさ
第I部 あいまいな喪失の理論の構築
第1章 心の家族
第2章 トラウマとストレス
第3章 レジリエンスと健康
第II部 あいまいな喪失の治療・援助の目標
第4章 意味を見つける
第5章 支配感を調節する
第6章 アイデンティティーの再構築
第7章 両価的な感情を正常なものと見なす
第8章 新しい愛着の形を見つける
第9章 希望を見出す
エピローグ セラピスト自身について
○コメント
JDGSプロジェクト(Japan Disaster Grief Support Project)において行われた研修が私の周りで話題になりましたが、遠くて行けませんでした。