「がん患者に声で寄り添う 「ネットラジオ」番組が反響」『東京新聞』2015年5月21日

当事者のパワー凄いです。

ミーネット ラジオピアサポートとは?
http://me-net.org/netradio/about/


「がん患者に声で寄り添う 「ネットラジオ」番組が反響」『東京新聞』2015年5月21日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/CK2015052102000212.html

がん体験者の声を流すインターネットラジオ番組が反響を呼んでいる。患者を支援するNPO法人「ミーネット」(名古屋市)が無料配信する「ラジオピアサポート We Can!!」。がんを患った働き盛り世代のパーソナリティーらが、自分の闘病体験や仕事を続けるこつを語り、マイクの向こうの患者に寄り添う。 (山本真嗣)
 「せっかく今日、こうやって生きているのに落ち込んでいたら損だとふと思って。遠い将来を考えるのではなく、一日一日をとりあえず、得な生き方をしようと考えた」
 五月中旬、名古屋市のスタジオで、がん患者が体験を語り合う「がんサバイバー・トーク」の収録があった。この日のゲストは、七年前に深刻な子宮体がんが見つかったという女性(53)。絶望のふちから、毎日笑って生きようと思うようになった心境の変化を語った。
 大学受験を控えた息子二人がおり、家族が生きる支えになったこと。同じ病室のがんの女性から「大丈夫。一緒に生きるんだよ」と言われた言葉に救われたこと…。パーソナリティーの山田正昭さん(52)は腎盂(じんう)がん、藤田ユキさん(41)は乳がんを患った体験者。当事者だからこそ分かる“がん談議”に花が咲いた。
 「話し方は素人でも、内容はプロの番組にも負けませんよ」。収録後、山田さんはにっこり笑った。
 ミーネットは、がんの体験者が患者の相談に応じる「ピアサポート」を愛知県内の病院で定期的に開催している。理事長の花井美紀さん(63)によると、二十~六十代は仕事や子育てに忙しかったり、第三者に話すことに抵抗を感じたりして、一人で悩みを抱え込んでいる患者が少なくない。「ネットラジオなら、空いた時間に聴けるのでは」。昨年四月から製薬会社の支援を受け、ラジオ版のピアサポートを始めた。がんのピアサポートを目的としたネットラジオ局は「全国に他にはない」という。
 パーソナリティーは三十~五十代の会社員、子育て中のママ、医療ソーシャルワーカーら四人。収録は月一回ほどのペースであり、さまざまながんの体験者を毎回ゲストに招く。
 一回約四十~六十分。リスナーが思いを川柳などにして詠む「がんカルタ」や、ゲストらが闘病中に勇気づけられた「この一曲」、最新治療の講演会のリポートなど豊富だ。これまで全十一回を収録し、ホームページ上で公開。全編やコーナー別に聴くことができる。
 これまでに延べ千三百回以上再生され、リスナーから約七十件の便りが寄せられた。抗がん剤治療で点滴中に聴いているという福岡市の女性は「否定的な考えばかりにとらわれていたが、私よりもずっとつらい思いをした人が笑って話しているのを聞き、自分だけではないと気付いた」と言い、仕事に復帰する意欲をつづった。

 藤田さんは、長期の抗がん剤治療を経験。副作用でテレビを見るだけでも吐きそうになり、「入院中はいつもラジオの音楽を聴いていた」。山田さんは四十五歳のときにがんが見つかり、腎臓の摘出を含め、六回の手術を経験。フリーライターの仕事が減り苦しんだが、治療経験を生かし、医療分野の原稿も書くようになった。「治療中は同じ病気の人とものすごく話したかった。自分の経験を一人でも多くの人と共有できれば」と話す。視聴する場合は「ミーネット」で検索。