「障害厚生年金、人工透析は2級なのに 誤判定で等級軽く 日本年金機構、来月にも実態調査」『北海道新聞』2015年4月28日

人工透析をしている方の障害年金が2級という案内は業務の中で行っていましたが、その運用は2002年4月1日からだったのを初めて知りました。

【参考資料】
国民年金・厚生年金保険 障害認定基準』平成26年6月1日改正,p67
日本年金機構HPより
http://www.nenkin.go.jp/n/open_imgs/service/zentaiban.pdf


障害厚生年金人工透析は2級なのに 誤判定で等級軽く 日本年金機構、来月にも実態調査」『北海道新聞』2015年4月28日
http://dd.hokkaido-np.co.jp/lifestyle/health/news/2-0025865.html

人工透析(とうせき)を受けている人の障害厚生年金で、受給額の目安となる障害等級を本来2級とすべきところ、障害が軽い3級に誤判定していたケースが全国で少なくとも5件あることが分かった。事態を重く見た日本年金機構(東京)は5月にも、同様のケースがあるかどうか、透析の原因となる腎疾患(じんしっかん)2200人の受給者を中心に実態調査を行う。
 人工透析については、2002年4月1日から、障害基礎年金の2級扱いとなった。現在の年間年金額は78万100円。厚生年金の加入者も、障害等級が従来の3級から2級となり、受給額が増えた。
 日本年金機構によると、誤った等級判定があったのは10年1月から13年4月にかけてで、男性4人、女性1人、40~60歳代の計5人でいずれも道外在住者。うち1人は支給前に発覚し、受取額に影響は出ていないが、残る4人について誤判定のまま、障害年金が支給されてしまったという。
 この4人は等級に疑問を持ち、年金機構に問い合わせ、誤りが判明。4人が本来受け取れる不足分は計744万円だった。中でも約4年間放置された40代の男性の不足額は634万円に上った。年金機構は「認定医の誤りだったが、チェックが足りず、受給者の方に迷惑をかけたことをおわびしたい」と話した。
 障害年金は病気やけがで日常生活や仕事に支障が出るようになった場合に受け取れる。申請するには《1》障害の原因となった病気の初診日の証明《2》障害の状態にある《3》年金保険料を納めている―などが条件。障害基礎年金の場合は、年金請求書と診断書を最寄りの年金事務所を通じて日本年金機構都道府県事務センターへ提出する。障害厚生年金の場合は、同様の書類を年金機構本部に提出する。その後、医師が診断書に基づき障害等級を判定、障害年金の受給要件が審査されて、支給・不支給が決められる。
■チェック体制に問題
 今回の誤判定で634万円もの影響を被ったAさんが人工透析を受け始めたのは09年2月下旬。体調がすぐれず、会社を辞め、自営業を始めたばかりだった。3人の子どもはまだ幼かったことなどから、障害厚生年金を申請。ほどなくして障害等級3級の年金が支給されることになった。
 その等級を疑うこともなかったが、受給から約4年半後、病気仲間から「人工透析の年金は2級」と教えられた。驚いたAさんは社会保険労務士に相談し、日本年金機構側と交渉。14年3月に、ようやく誤判定が認められた。「年金保険料を払えないと督促がうるさいのに、間違いを起こしても自分たちから何も言ってこない。事務処理誤りというが、こちらは自分も含めた家族を守る年金だ」とAさんの怒りは収まらない。

 「誰も知らない最強の社会保障 障害年金というヒント」(三五館)共著者で、愛知県安城(あんじょう)市の社労士の白石美佐子(しらいしみさこ)さんは「チェック体制に問題があったということには間違いない。等級判定を誤り、更新時にも気付かないという二重のミス。ただ障害年金は本人の申請主義なので、何か疑問点があったら、年金機構に聞く必要がある。仮に不支給とされても、その決定に納得できない人は不服申し立てという制度を利用してほしい」と助言している。(佐藤一)