2015年6・7月の新刊案内

日々が過ぎていきます。

2015年6・7月の新刊案内は、以下の3冊。高齢者の貧困に関する関連書が出ました。重症化して入院されてくる高齢者に、もっと想像を働かせて接していかなければと思いました。合わせて、より丁寧に関係機関と連携を図っていく必要性を痛感しました。それぞれの機関で見える風景は違うとは思いますが、真剣に誠意をもって接することで相手の対応も変わると信じています。

藤田孝典『下流老人 一億総老後崩壊の衝撃』朝日新聞出版,2015.6

○内容
まもなく、日本の高齢者の9割が下流化する。本書でいう下流老人とは、「生活保護基準相当で暮らす高齢者、およびその恐れがある高齢者」である。そして今、日本に「下流老人」が大量に生まれている。この存在が、日本に与えるインパクトは計り知れない。

○著者略歴
1982年生まれ。NPO法人ほっとプラス代表理事聖学院大学人間福祉学部客員准教授。反貧困ネットワーク玉代表。ブラック企業対策プロジェクト共同代表。厚生労働省社会保障審議会特別部会委員。ソーシャルワーカーとして現場で活動する一方、生活保護や生活困窮者支援のあり方に関する提言を行う

○目次
第1章 下流老人とは何か
第2章 下流老人の現実
第3章 誰もがなり得る下流老人
第4章 「努力論」「自己責任論」があなたを殺す日
第5章 制度疲労と無策が生む下流老人
第6章 自分でできる自己防衛策
第7章 一億総老後崩壊を防ぐために

NHKスペシャル取材班『老後破産:長寿という悪夢』新潮社,2015.7

○内容

「こんな老後を予想できなかった」――本書の事例は決して他人事ではない!
金がないので病院に行けない、食事は1日1食100円以内……。
高齢化社会を迎えた日本で、「老後破産」に陥る人々が増えている。普通に年金をもらい、自宅も所有、ある程度の預貯金……それでも生活の破綻は防げない!
なぜ起こるのか、実態はどうなっているのか、予防策は?
驚くべき現状に肉薄した、衝撃のルポ!

○目次

序 章 「老後破産」の現実
第1章 都市部で急増する独居高齢者の「老後破産」
第2章 夢を持てなくなった高齢者たち
第3章 なぜ「老後破産」に陥るのか~社会保障制度の落とし穴~
第4章 地方では見えにくい「老後破産」
第5章 急増する「老後破産」予備軍
終 章 拡大再生産される「老後破産」



河合克義『老人に冷たい国・日本 「貧困と社会的孤立」の現実』光文社,2015.7

○内容
孤立死」「餓死」という言葉に象徴されるように、
昨今、孤立や貧困をめぐる問題が日本の社会問題の一つになっている。
近年では高齢者がひとりで亡くなったまま
何日も発見されないという事態も相次いでいる。
先進国といわれるこの日本で、いま、いったい何が起きているのだろうか。
30年以上も前から貧困と孤立の問題を研究し、
NHK『無縁社会』『老人漂流社会』に協力・出演した著者が、
高齢者、とりわけひとり暮らし高齢者の貧困と社会的孤立にスポットをあて、その現状を分析。
家族や社会構造はどう変化したのか。
日本の社会保障、福祉制度に欠落しているものとは?
<高齢者3000万人時代>に必要な視点と、問題解決へのシナリオ。

○著者略歴
1949年北海道生まれ。明治学院大学大学院社会学研究科社会学社会福祉学専攻博士課程修了。フランス・ナンシー大学客員研究員(1981~82年)、明治学院大学社会学部長、副学長、港区政策創造研究所初代所長、総務省「都市部におけるコミュニティの発展方策に関する研究会」座長を歴任。NHK無縁社会』『老人漂流社会』の番組制作に協力・出演。現在、明治学院大学社会学部教授、東京都生活協同組合連合会理事。専攻は地域福祉論

○目次
【はじめに】深刻化する貧困と社会的孤立
【第1章】貧困と孤立は、もっとも弱い層を襲う
【第2章】ひとり暮らし高齢者はどの地域に多いか
【第3章】日記は語る
【第4章】5つの生活類型と格差
【第5章】農山村と都市を比較する
【おわりに】「老人に冷たい国・日本」を変える