新刊案内

産業医科大学の松田晋哉先生の新刊が今週発売されたことをこちらの記事で知る。

前著から、2年も経つのですね。時間の流れるのは早いです。

松田晋哉『地域医療構想をどう策定するか』医学書院,2015.10.19


○内容

これからの地域医療を考えるための必携書
地域医療構想の目的は病床削減ではなく、医療を通して地域の安心を保障することだと著者は説く。2015年3月に「地域医療構想策定ガイドライン」が公表され、構想圏域ごとに地区医師会の代表者や保険者を含めた関係者の合議による地域医療構想の策定が求められた。この前例のない事態に戸惑う関係者の指南書として、本書は地域医療構想の背景となる考え方、立案手順、データの活用方法や調整会議の具体的な運用方法を示した。

○目次
まえがき
第I章 なぜ医療提供体制を再考しなければならないのか
 1.人口推計から見えてくる未来にどう対応するか
  1)福岡県北九州市:地方の中核都市の一例
  2)福井県大野市:過疎の進む自治体の一例
  3)東京都江東区:人口が増加し続ける都市部の一例
  4)東京都多摩市:人口が高齢化するかつてのニュータウンの一例
  5)千葉県習志野市:首都圏近郊の住宅地
  6)地域の比較から見えるそれぞれの対応策
 2.わが国の医療制度の現状と課題
  1)財政方式の現状と課題
  2)医療提供方式の現状と課題
  3)地域医療構想・医療計画と診療報酬
第II章 地域医療構想の歴史的背景
 1.医療計画の医療法上の位置づけ
  1)医療計画の目的
  2)基準病床数の規制をめぐって
 2.地域医療計画の歴史的経緯
  1)第一次医療計画:1985年
  2)第二次医療計画:1992年
  3)第三次医療計画:1997年
  4)第四次医療計画:2002年
  5)第五次医療計画:2006年
  6)第六次医療計画:2014年
  7)そして地域医療構想の策定へ
第III章 地域医療構想の考え方
 1.地域医療構想がめざすもの
 2.地域医療構想策定ガイドラインの読み解き方
  1)病床機能別病床数の推計方法
  2)地域医療構想策定の具体的な手順
  3)地域医療構想調整会議
  4)都道府県知事による措置
 3.構想区域の設定について
  1)東京都の場合
  2)鹿児島県の場合
  3)構想区域の考え方に関するまとめ
 4.地域医療構想のために提供される主な資料とその分析の視点
  1)DPCデータ
  2)NDBデータ
  3)消防庁データ
  4)年齢調整標準化レセプト出現比(SCR)
  5)病床機能別医療需要
  6)人口の将来予測
  7)傷病別入院患者数の推移の推計
  8)分析結果のまとめ
 5.地域医療構想の立案手順
  1)地域医療構想調整会議の目的と進め方
  2)鹿児島県 姶良・伊佐医療圏における地域医療構想策定のための模擬調整会議
 6.病床機能別病床数の適正化の考え方
  1)推計値の意味すること
  2)機能別病床数を考えるうえでの論点
  3)医療者の意識改革の必要性
 7.実効性の担保のために必要なこと
  1)医療の現状に関する理解
  2)保健民主主義と責任化原則
  3)各レベルでのデータの活用能力の向上
  4)医療の質評価との連動
  5)住民および患者の理解
第IV章 活力ある高齢社会を創造するために
 1.地域医療構想と地域包括ケア計画を連動させる
 2.少子高齢社会における医療の役割を再認識する
 3.冷静に財政問題を考える
資料編
 i 分析のための道具箱
 ii 欧州における医療制度改革
あとがき
索引