「介護職員の虐待、3割増加 14年度は過去最多の300件」『朝日新聞』2016年2月6日
「介護職員の虐待、3割増加 14年度は過去最多の300件」『朝日新聞』2016年2月6日http://www.asahi.com/articles/ASJ260CNNJ25UBQU00H.html
厚生労働省「平成26年度 高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づく対応状況等に関する調査結果」平成28年2月5日
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000111629.html
コメント:養介護施設従事者による虐待で施設・事業所の種別(表14)では、「『特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)』が31.7%と最も多く、次いで『有料老人ホーム』が22.3%、『認知症対応型共同生活介護(グループホーム)』が13.3%、『介護老人保健施設』が11.7%の順であった。」というのが印象的であった。下記のデータの通り、施設数の多い順に虐待件数が多い訳ではないということだ。むしろ、施設種別として誕生が古い順に虐待発生率が高い。グループホームの虐待発生率の低さは、入居者が少人数制であることが要因か。しかし、職員も少人数になるためその毎日の介護の苦労は計り知れないものがあるが・・・。
虐待の発生要因(表7)では、「虐待の発生要因として最も多かったのは『教育・知識・介護技術等に関する問題』で、次いで『職員のストレスや感情コントロールの問題』、『虐待を行った職員の性格や資質の問題』であったとのこと。「人員不足や人員配置の問題及び関連する多忙さ」は「その他」を除きもっとも低い虐待発生要因に挙げられていた。
「人員不足や人員配置の問題及び関連する多忙さ」は、虐待発生要因の中でも主要因という印象を持っていたが、データ上はそうではない様だ。施設基準の順守は徹底されていると理解すればよいのか。「教育・知識・介護技術等に関する問題」が虐待発生要因として最も高かったが、職員の給与水準、事業所の資本金、施設費用などがいずれも低い施設でそういった状況が発生しているのではないかと想像する。
【平成26年度】
施設種別 施設数 虐待件数 虐待発生率
認知症対応型共同生活介護 12,497施設 40件 約0.3%
有料老人ホーム 9,632施設 67件 約0.7%
介護老人福祉施設 7,249施設 95件 約1.3%
介護老人保健施設 4,096施設 35件 約0.9%
注:1施設で1件の虐待が発生したと仮定。
出典:厚生労働省『平成26年介護サービス施設・事業所調査の概況』,『平成26年社会福祉施設等調査の概況』『平成26年度 高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づく対応状況等に関する調査結果』より筆者作成